03.星屑の晩餐会
それはタイミングを見計らっていたに違いない登場だった。
「おくれてごめんなさい、おにいっ・・・―――ドン・ボンゴレ」
開かれた扉から入ってきた童女に、室内にいたドンたちはそれぞれに驚きの反応を見せた。綱吉は話していた相手に断りを入れ、童女の元へと歩み寄る。
「来てくれてありがとう、。十分間に合ったよ」
「ほんとう? それならよかったわ。ラガツァぜんいんつれてきたの。おにいさまのおやくにたてるように」
「全員!? それじゃあ本拠の方は・・・・・・」
「ほんのなんにんか、のこしてきたわ。だいじょうぶよ、ラガツァだもの。そこらへんのひきょうなしゅうげきにはまけないわ」
微笑んだ童女の手を取り、綱吉は部屋を振り返る。集まっていたディーノを始めとするドンたちは、すべてボンゴレファミリーの同盟相手だ。彼らが自分たちに注目しているのを確認し、綱吉は童女を紹介する。
「ご存じの方もいらっしゃると思いますが、先日めでたくボンゴレの盟友となりました、ラガツァファミリーのドン、・嬢です」
「はじめまして、みなさま。・です。どうぞよろしく」
「まだ幼い彼女ですが、なかなかにボスの資質がありますよ。まるで妹みたいで可愛がっているんです」
「おにいさまの、ドン・ボンゴレのおやくにたてるように、このたびのこうそうにさんかさせていただきました。せいいっぱいがんばりますわ」
笑顔を浮かべて並び合う二人は、まるで兄妹か父娘のようだった。ディーノの聞いているところによれば、そんな甘く親しい間柄ではないはずだが、それでも彼らは即座に「良好な関係」を演じてみせた。確かにこりゃ異端だな、とディーノは心中で苦笑する。濃碧の瞳が一瞬だけ自分を捉え、ディーノはその深さにざわりと背中を粟立てた。まずい、と直感が告げる。
「それでは皆さん、そろそろ作戦会議とさせて頂きたいと思います。どうぞ別室へ」
綱吉の先導に、ドンたちがゆっくりと動き始める。その中でも童女はゴッドファーザーの隣を譲らず、笑顔で彼に話し掛けている。揺れるワンピース。赤銅色の髪。細い手足。低い身長。舌足らずな声。すべてが七歳の童女として相応しいはずなのに。
―――得体の知れない気味悪さを、まるで皮膚の下を蛇がはこびるような不快感を、ディーノは覚えた。
濃碧の瞳が振り返り、彼を笑った。
ツナ、おまえ分かっているのか。隣にどんな奴を置いているのか。
2006年7月27日