05.夢の中の楽園
「ヴィットーレ」
「はい、ドン・ラガツァ」
「あすのよていは?」
「午前中は書類の決裁を。午後は下部組織の定期訪問です」
「そう。けーきがたべたいわ。このあいだもらった、ほら、ちょこれーととびすきゅいの」
「畏まりました。ご用意致します」
「カルカッサのドンは、ふつうね。アルコバレーノをようしてるんだから、もっといげんのあるひとかとおもっていたわ」
「確かに、ドン・ボンゴレと比べると見劣り致しますね」
「スカルだけもらえないかしら。アルコバレーノがいたらべんりだとおもうの」
「そうですね。ですがスカルもドン・ボンゴレとは知己だと聞いております」
「あら、それはこまるわ。せっかくてにいれても、どうめいをくんだらめいしゅってことでもってかれちゃう。あそこにはもうリボーンがいるのに、もっとだなんてごうよくなひと」
「マフィアランドを統括するアルコバレーノも、ボンゴレ幹部の一人の師匠に当たるようですしね。さすがはゴッドファーザーといったところですか」
「そうね。はあんまりすきじゃないけど。でもひつようだもの、あのちからは。ラガツァはおおきくないから、ボンゴレにまもってもらわなきゃ」
「もう夜も遅いです。お休み下さい、ドン・ラガツァ」
「ヴィットーレ、いつもありがと」
「いいえ、お嬢様にお仕えすることが私の喜びです」
「ふふ、かわいいこ」
「ねぇヴィットーレ、おまえにいつかみせてあげる。ゆうだいなイタリアのそらに、ラガツァのはたがひるがえるのを」
「・・・・・・ありがとうございます、ドン・ラガツァ。必ずやこの身、貴女のお役に立ってみせます」
「おやすみ、ヴィットーレ」
「お休みなさいませ、お嬢様」
童女は夢を見る。血に塗れた世界で、色鮮やかな夢を。
小さな両手を一杯に広げ、開いたその目で楽園を見るのだ。
お題終了。
2006年7月21日