02.神様は傍観者





大の男でさえ眉を顰める醜い悲鳴に、けれど童女は小首ひとつ傾げない。二つに結わかれた赤銅色の髪だけが、リボンと一緒にふわりと揺れる。紡がれる声は高く、彼女が十にもなっていないことを暗示していた。
「すてきなおかおね、ドン・チェカッセ。じぶんのちのあじはいかがかしら? あかわいんよりもにがいのかしら。ちょこれーとよりもあまいのかしら」
「貴様・・・・・・っ!」
「きさまじゃないわ。。ドン・ラガツァのじゅうにだいめ。しゅうめいしきはこれからだけど、みんなみとめてくれたのよ。はパパのあとをついだの。あたらしいドン・ラガツァになったのよ」
「貴様ごとき小娘に何ができる! マフィアは子供の玩具ではないっ!」
「うるさいひとね。ヴィットーレ」
「はい、ドン・ラガツァ」
控えていた部下からナイフを受け取り、童女はにこりと笑みを浮かべる。幼い顔は愛らしく、まるで可愛がっているペットを前にしたかのように純粋で。
「ぎゃああああああっ!」
男の叫びが部屋を震わせる。童女の力では切断することは不可能で、半端にもがれた指が白い骨を曝け出す。
「チェカッセはパパをころしたわ。だからこんどはがころすの。あなたのしをはなたばにして、のしゅうめいしきをおこなうつもり。しんぱいしないで、だいじょうぶだから。ファミリーもちゃんと、ころしてあげる」
「ふざ・・・っふざけるなぁ! 貴様ごとき小娘に、どうして私が・・・!」
「うるさいひとね。ばかなのかしら。そんなのきまっているでしょう?」
スカートの裾を叩いて、童女はすくっと立ち上がる。ワンピースに包まれた姿はまるで、作られた人形のよう。美しく可憐で、冷たいくらいに無表情で。壊れかけた螺子巻きはどこ。



もあなたもマフィアなの。ころすかしぬかのじんせいなのよ」





かみさま? しってるわ。にちようびにはきょうかいへいくもの。
2006年7月21日