彼女と彼女の恋人のインターハイの話





「・・・都合がいいのは分かっている」
「うん」
「でも、やはり駄目だな。俺は山神だ。箱根学園のエースクライマーとして、先輩として、背中を見せ続けることも仕事のひとつだ。情けない姿を晒すことは許されない」
「うん」
「フクも、新開も、荒北も、泉田も。・・・真波も。みんながみんな悔しいだろう。だが、その姿を晒すわけにはいかんのだ。俺たちは王者だから」
「うん」
「来年雪辱を晴らすためにも、毅然としていなくてはならない。負けた俺たちに出来るのは、もうそれくらいなのだから」
「うん」
「・・・・・・」
「うん」
「・・・
「うん」
「・・・すまない。少しでいい。・・・抱き締めて、くれないか」
「うん」
「・・・すまない・・・っ」
「うん」

「いいよ、もう。・・・お疲れ様、尽八君」





こんなとき、何て言ったらいいのか分からないことが悲しいの。
2014年4月20日