君はsexy!





「お」
金色の長い髪を揺らして、平古場は振り向いた。隣を歩いていた甲斐も同じく、帽子のつばを摘まんで背を返す。ふたりの隣を擦れ違っていったのは、銀色の髪が眩い同じ年くらいの少女だった。まだその背中は遠ざかっておらず、割合と近くに見える。長袖のブラウスは流石に暑いんじゃないかと思わなくもなかったが、短いスカートから覗く足の白さを思えば日差しに弱いのかもしれない。それにしたって色っぽい。後ろ姿にさえそんな感想を抱いてしまう少女は、擦れ違う様に見た横顔もまた鮮やかだった。少しだけ切れ長の目は睫毛が長くて艶があり、唇を飾るほくろがまた格別の印象を抱かせる。緩く絞められたネクタイが似合う、真面目とはかけ離れた、それでも画一的な所謂「ギャル」ではない少女はファッションにうるさい平古場の好みにストライクだった。滲み出る雰囲気がクールでいて婀娜っぽく、尚且つどこか儚そうなところが更に良い。思わずひゅう、と口笛を鳴らしてしまう。
「裕次郎、見たか? なまぬちゅーいなぐ、ちゅらかーぎー!」
「見た見た、でーじ上等! やっぱ東京ぬ女は一味あらんさー」
「まーぬ学校やんやー? 制服着崩そーん分かんねーらん」
「ちゃーすがー? あり見逃す手はちょっとねーんさー」
「だーるなぁ」
滅多にない好みの美人を前に、平古場と甲斐はうきうきと胸を高鳴らせて声を重ねる。
「「永四郎、ナンパしてきてゆたさん?」」
「ゴーヤー食わすよ、ふたりとも」
しかし当然ながら部長の木手のお許しが出るはずもなく、ふたりがぶーぶー文句を垂れているうちに、仁王雅治の姿は遠ざかり見えなくなっていったのだった。





特に平古場君はヒロイン仁王ちゃん(の容姿)が好みだと思う。
2011年3月13日