大蛇丸様50歳、サスケとナルト12歳
「よーいスタートの合図で」
カカシの台詞が終わらないうちに、ナルトが鈴をめがけて突進した。直情型とは聞いていたため、案の定、と思いながらカカシは一瞬でナルトの背後へと移動する。後ろから腕を拘束して、クナイをナルト自身の後頭部に向けさせ、「まだスタートとは言ってないだろ」と忠告してやるつもりだった。しかし実際に現実となったのは腕を拘束するまでだ。よもやまさか読んでいたわけでもあるまいに、黒い風がカカシの眼前に襲い掛かってくる。サスケか、と焦る思考回路とは別に、戦闘に慣れた身体は勝手に動く。ナルトの掴んでいる腕はそのままに、上半身だけを引けばサスケの足は宙を蹴った。しかし次には半身を返したナルトの投げ技に逆に腕ごと引きずられる。どこにこんな力が、と観察しているうちにカカシの足は地を離れ、叩きつけられようとしていればサスケが上から追撃とばかりに膝を埋め込んで来ようとしている。流石のカカシもナルトの拘束を解き、たん、と受け身を取ってふたりから離れた。またしてもサスケの蹴りは不発に終わったが、一瞬で成し遂げられた見事な連係プレーは下忍のレベルを超えている。しかもふたりはカカシが離れたのを見て、同じように距離を取ったのだ。ナルトの手はサクラのそれを握り締めており、森の奥へ向けて駆け出している。
「えっ・・・! ちょっと、ナルト!?」
「一時撤退! 作戦会議だってばよ!」
「火遁、豪火球の術!」
殿を務めるサスケが、足止めのために火の玉をカカシに向けて吹き出した。やはりこれも下忍とは思えない威力で、カカシが煙に巻かれている間に三人は姿を消してしまった。ナルトとサスケはともかく、サクラの気配を探れば見つけるのは簡単だが、作戦会議という言葉のために追うことはしない。どうやら彼らは、ふたつしかない鈴を三人がかりで取りに来るらしい。しかもちゃんと三人で協力して。ナルトとサスケだけならば今見せた連携でもってふたつの鈴を奪取することは可能だろうが、そこに平均的な下忍の能力しか有していないサクラが入ると可能性は一気に下がる。それでもスリーマンセルだからこそ、三人で鈴を取ることが大切なのだと分かっているのだろう。忍者としては甘い。けれども仲間を見捨てるような奴は最低だと考えているカカシにとって、彼らはもはや十分にこの試験の合格に値していた。
「さすが、四代目の息子。それに大蛇丸様の弟子だねぇ」
喜びに目が蕩けてしまう。しかし試験だと告げてしまった以上、少しはそれらしいことをしてみなくては示しもつかない。どれどれ、実力を試させてもらうかな、とカカシはゆっくりと歩み始めた。ポケットに潜ませてきた「イチャイチャパラダイス」は、この分なら読む暇がなさそうで何よりだ。
ガチで親友なナルトとサスケなので、連係プレーも超得意。
2011年4月17日