何で。
何で。
何で。
何で。
何でだよっ!
これじゃ俺が負けたみたいじゃんか!!
Love me, I love you!(side Gakuto Mukahi)
あの日以来。
あの日以来、何度もあの瞬間が頭に浮かぶ。
廊下で呼び止められて、振り向いたらいきなり殴られて。
ムカつくとか思ったらネクタイ引っ張られてキスされるし。
挙句、告白までされたし。
しかも、全然知らなかったヤツに!
これで気にならないヤツなんかゼッテーいねぇっての!
だから俺がアイツのこと気になるのも変じゃないっ!
頬が熱くなるのは初めてのキスだったからだ。
目がアイツを探すのは知らないヤツだからだ。
夢まで見るのは強烈な体験だったからだ。
それ以外の何物でもない。
何物でもない!
手が、震える。
何でかわかんないけど身体が熱くなる。
何がしたいんだろ、俺。
でもとにかく。
でもとにかくアイツの目を見たらダメだ。
そうしたら、絶対。
「向日岳人」
ここ最近、ずっと耳に入れようとしていた声が聞こえる。
それが心地よく聞こえた時点で、俺はもうダメだったのかもしれない。
「――――――――――なぁ」
ノロノロと顔を上げた。
どうせなら、あの瞳を見て。
あの眼を見て聞きたい。
「おまえまだ、俺のこと好き?」
すっげー傲慢な俺の質問に、アイツはすごく楽しそうに笑った。
綺麗に、本当に、すごく綺麗に。
そんな風に笑うから、俺はめちゃくちゃムカついて。
「言葉で――――――――――」
「愛してるけど?」
すごく楽しそうに、面白そうに笑って。
そして思わず顔を上げた俺の視線を奪う。
・・・・・・・・・あ。
眼が、合ってしまった。
その眼に捕まってしまった俺はもうどうしようもなくて。
だってコイツ、全部判ってる。
俺の気持ちも、言いたいことも。
全部全部、判ってる。
――――――――――負けてたまるか。
息を吸って。
カッコよくなんて出来ないけど最大限に笑ってやる。
だてに氷帝正レギュラーはってねーし。
度胸ならゼッテー負けねー。
見てろよ、バカ。
「俺も、が好きだ」
絶対当然のように笑うと思ってたのに。
それなのには顔をゆがめた。
その強い眼をほんの少しだけ緩めて。
泣きそうに。
でもすごく嬉しそうに。
「・・・・・・・・・・やっぱ、俺の負けじゃん・・・・・・・・・」
真っ赤になる顔を抑えられなかった。
2003年6月25日