視線を奪われる。
強制的に引きずられてく。
逆らうことなんて出来ない。



その強さが、さんの瞳にはある。





Love me, I love you!(side Tyoutaroh Ohtori)





窓から見えるフィールドで、一番にラインを切ったのはスラリとしたスタイルの女子だった。
長距離走でもやってるんだろう。女子は1000メートル、男子は1500メートル。
誰もが息を切らして苦しそうに走る中で、一番にゴールした彼女。
結んでいた黒髪を解いて。
顔が見えた。



さんだ・・・・・・)



本当に運動神経がいいんだなぁと思う。
たしか特定の部活には入っていないはずなのに。
陸上部に入ってもきっと一番が取れそうなのに。
ひょっとしたら、テニスもすごく上手いかもしれない。
数学教師の説明を聞き流しながらフィールドを見ていると、そんなさんに近づく生徒がいた。
見慣れた姿。



(日吉・・・・・・)



並んで立つ二人。
どこか似た雰囲気を持つ二人。
お似合いの二人。
でも、さんは向日先輩を選んだ。
公衆の面前で殴って、キスをして、そして告白した。
それ以来、何かあったという話は聞かないけれど。



さんに限って、遊びや冗談なんてことはない。
そう、それは絶対。



奇妙な信頼感を、さんは抱かせる。
あの瞳がそうさせるのかもしれない。
なんだかひどく惹きつけられて。
身体が震えて指先は冷たくなる。
それは捕食者に睨まれた獲物に似ている。



『肉食獣』と言った日吉。
うん、たしかにそれは当たっていると思う。
だけど俺は・・・・・・・・・。



フィールドのさん。
一瞬だけ交わった視線。
引き寄せられる。
離れない。



・・・・・・・・・太陽のようだと、思うんだ。





2003年6月23日