それはまさに
閃光





Love me, I love you!(side Yushi Oshitari)





捕まえた腕をいとも簡単に払いのけられた。
切り揃えられた黒髪が揺れる。
「アンタ、誰」
「忍足侑士っちゅうんやけど、知らへん?」
「知らない」
「岳人のダブルスパートナーなんやけど」
微笑したのに、返されたのは嘲笑だった。
「私が好きなのは向日岳人でアンタじゃないから」
・・・・・・・・・・それはそうか、と頭のどこかで納得した。



目の前の少女。
岳人を殴るついでにキスと告白をし。
鳳が戸惑いながらも賛辞を述べ。
日吉が感情を露にするような。
それほどの少女。

黒髪が揺れる。



「手、放して」
再度握りこんだ腕はこの年の少女らしい細く力のないもの。
「放せって言ってんだけど」
声は合格。
「聞こえてんの、アンタ」
先輩に対する態度は不合格。(かなり今更だけれども)
「いい加減にしろよ」
―――――――――――手の速さは、かなりのもの。



短いスカートにも係わらず繰り出された脚。
腕を掴んでいるのと逆の手で掴もうとして、けれど同時に腕を回されたことによって遮られる。
間一髪で避けた蹴りは前髪を少し掠って。
自由になった少女は完全な戦闘態勢を立ち上げていた。
3メートルの間隔を開けて。



思わず、笑みが浮かぶ。
「やるなぁ、ちゃん」
言葉を返さない少女にさらに笑む。
けれどさっさと背中を向けて歩き出したのには流石に慌てた。
「ちょ、ちょお待ってや」
手を伸ばして。
黒髪が、揺れた。



一瞬の視線



伸ばした手は空を切って、後ろ姿は気遣いなど見せずに遠ざかっていく。
揺れた黒髪から覗いた眼。
縫い付けられる、締め付けられる、行動を一切制限される。
それだけの強さを持って突き抜ける視線。
あたかも、斬りつけられるかのような。
身体が、震えた。



「『肉食獣』か・・・・・・・・・」
呟いて、笑う。
「上手いこと言うやん、日吉」
本当に、楽しい。



喰われてしまいそうだ。





2003年6月22日