「向日先輩に告白したのか」
「そうよ、悪い?」
「・・・・・・いや」
背を向けて去っていく姿に目を細めた。
Love me, I love you!(side Wakashi Hiyoshi)
ドアを開ければロッカールームは常以上にうるさかった。
原因なんて思い当たることが当然のようにあるから無視をする。
案の定、騒ぎの中心にはダブルス2の一人。
「岳人、やるやんか自分。公衆の面前でベロチューなんてなぁ」
「う、うううううううううううるせっ! 向こうからしてきたんだから仕方ないだろ!!」
「アーン? だからって腰なんか抜かしてんじゃねぇよ」
うるさすぎる会話を無視してジャージを脱いだ。
肩を掠める黒髪。
意思が強烈に見せる眼。
その立ち振る舞い。
肉食獣のような女。
「なぁ鳳、自分はちゃんって知っとるやろ? 同じ学年やし」
「え・・・・・・まぁ、知ってますけど・・・」
「どんな子なん?」
鳳が一瞬こっちを見た。
「・・・・・・・すごく、印象的な子ですよ。綺麗だし、運動も勉強も出来ますし。でも・・・・・・」
「でも?」
ウェアを脱いでワイシャツに袖を通した。
「目が、一番印象的だと思います。何て言うか・・・・・・・・・」
乱暴にロッカーを閉めた。
音がやけに大きく響いて、知らず眉をひそめる。
隣の鳳と目が合った。
「日吉・・・・・・・・・?」
こっちを見ている先輩方の真ん中。
向日先輩。
「を甘く見ない方がいいですよ。中途半端にしない方がいい」
あの女を手懐けるか。
あの女に手懐けられる。
放っておけば必ず。
「喰われますから」
あの肉食獣のような眼に身体も心も全部食い千切られて噛み裂かれて。
そうなりたいのならなればいい。
俺は、絶対に御免だ。
喰われる前に喰ってやる。
2003年6月22日