12.溜息のレッド
目を覚ましたのはおそらく、彼女一人だったのだろう。目覚めて天井が初めて見るものであることを認識し、武器を手にとろうと腕を伸ばして、そこで初めて気がついた。ベッドの端にも届かない短さ。頭が重い。身体が上手く動かない。スピーカーから女の声が流れ出る。
『適合に成功しました。どこか違和感のあるところはありますか?』
「・・・・・・ない」
発した声すら幼い。舌足らずではないことが幾らかの救いになるだろうか。もみじのような手を見下ろし、吐き出した溜息は深かった。
「でも、これではセックスも出来ませんわ。あぁ、だから赤ん坊になんてなりたくなかったんですのに」
さめざめと・は頭を振る。体重のほとんどを占めるそれは重く、くらくらとバランスを失わせた。
『それでは、これより精密検査に入ります』
無機質なスピーカーに、女だった赤ん坊は肩を竦め、「よろしくてよ」と妖艶な仕草でぺろりと唇を舐め上げた。
そういえば、ラルさんはどうなったんですの?
2007年6月2日