天使とピストル





「最初に服を買おうか」
イルミの言葉には首を傾げた。
「今の服じゃボロボロだし。動きにくそうだしね」
白いだけのワンピース、それは布一枚のシンプルすぎるもので。
暑さには耐えられるだろうけれど、寒さをどうやって凌ぐのか。
何よりそのサイズが合っていないことがイルミの気に障った。
大きな襟ぐりから浮かぶ鎖骨が覗く。

でも、おかねないから

「俺が買ってあげるよ。それくらいなら安いものだし」
少女は首を振る。
「じゃあツケといて。後で払ってくれればいいよ」
少女は迷って考えていたが、イルミは返事を待たずに子供服店へと入っていった。



そうしてまもなく、真っ黒のワンピースに着替えたが出てきた。
イルミは代金をカードで支払い、着ていた服は捨てて良いと告げる。
の手には、ふっくらとした熊のぬいぐるみ。
銀色の髪が風に揺れた。
「次はご飯。何食べたい?」
少女はフルフルと首を振った。
イルミはそれにも答えずに近くにあったレストランへと入っていく。
抱きかかえていたを降ろすと勝手に注文をし始めた。
ぬいぐるみが、一席占領する。
食の細さにの軽さの理由をみて。
もう少し食べなよとイルミが言う。
いつもの彼なら決してない行為。
この、小さな少女にだけ
自分の依頼主だけに向けて、イルミは無意識のうちに笑った。



イルミの腕に抱かれて、少女と熊はヨークシンを目指していく。





2004年6月12日