何つーか、アレだな。人生ってのは判らないものだ。
世界は広すぎるが故に、臆病な人間たちは狭い世間で生きているのかもしれない。
そしてそこには様々な喜びがあり、楽しみがあり、苦しみがあり、葛藤があるのだろう。
すべてを受け止めて、それでもなお「自分は自分だ」という強さを持てるヤツが果たしてこの世に何人いるだろうか。
人生というのは世知辛い。俺はつくづくそう思った。

秋葉原にある某有名アニメグッズ店で、立海大付属中の真田弦一郎と相対しながら。





ビリビリクラッシュメン





ざわざわと店内は今日も客で溢れている。
左にある棚に並べられているのは、最近人気の某忍者アニメグッズ。俺様としてはヒナタがオススメだな。あれは将来かなりいい女になるぜ。
右にある棚に並べられているのは、最近人気の某ロボットアニメグッズ。俺様としてはネオが気になるな。あいつの正体はやっぱりアレなのか。
つーか通路に突っ立ってるんじゃねぇよ。他の客に迷惑だろうが、アーン? ただでさえおまえはデカイんだからよ。

「あれ? 立海の真田君じゃない」

俺の後ろから出てきたが、目の前で硬直している相手に笑いかける。
ちなみにの手に握られているのは新作の格闘ゲームだ。俺たちだって毎日恋愛シミュレーションやら18禁エロゲーやらやってるわけじゃない。
たまにはこういった正統派ゲームに燃えたくなるときもあるんだ。断じて萌えではなくな。

「はじめまして、景吾の幼馴染のです。真田君のお話はかねがね」

にこりと笑ってが一歩前に出る。
ビクッと肩を震わせて真田が一歩下がる。
おい、そのまま後ろに下がるとロボメイドのポスターに見入ってる男にぶつかるぞ? まぁおまえがぶつかりたいなら止めねぇけどな。

「真田君は今日はお一人? それともお友達と一緒?」

さらにが一歩前に出る。
さらにビクッと肩を震わせて真田が一歩下がる。
すると案の定真田はポスターに見入ってた男にぶつかった。迷惑そうに振り返られているが、真田はそれに気づいちゃいねぇ。
そこまで今の状況に動揺しているのか・・・・・・。まぁ、そうだろうな。何たって。

あの天下の立海大付属中学男子テニス部副部長、人呼んで『皇帝真田』が某アニメグッズ店にて両手一杯買い物してるんだからな!

「原稿用紙、Gペン、スクリーントーン、ホルベイン雲形定規」

おそらく完全に判っていながら、は真田の手の中にある品物を次々と読み上げる。
一つ羅列される度に真田の顔色がどんどんと土気色に変わっていく。
おい、そういう反応は止めておけ。サディスティック星の王女であるを悦ばせるだけだ。

「でもって『初心者でも簡単に描ける漫画・イラスト入門書』。へぇ、真田君って漫画描くんだ?」

予想通りは完璧な笑顔を浮かべ、中学三年の硬派で知られている男に向かって無邪気な振りして止めを刺す。

「どんな話描くのか、見せてもらいたいなぁ」

―――さすが『皇帝』の名を持つに相応しいバネで真田は瞬時に身を翻し、駆け出した。
だがここは休日の某有名アニメグッズ店。客で溢れ帰っている中を通り抜けられるわけがなく。

「これからお昼ご飯を食べようって景吾と話してたんだけど、真田君も一緒に食べない?」

背の高い真田の襟首を後ろから思い切り掴み、が笑顔で無音の脅迫をした。
・・・・・・・・・さぞかし無念だろうな、真田。おそらく誰にも見つからないためにわざわざ神奈川から秋葉原まで出てきただろうに。
だけどここは俺様の庭なんだよ。インサイトで見るまでもねぇ。それがおまえの敗因だ。
今度からはネットで通販するんだな! ・・・・・・それだと家族に不審がられるかもしれないけどよ!



今日の昼は神田にあるフレンチレストランの予定だったが、急遽変更して秋葉原のファミレスに入った。
はいつになく上機嫌で笑っている。
だが俺には分かる。今のコイツの心中は、真田をどう料理するかで九割が占められているはずだ。
まぁ真田をからかえるなんて滅多にない機会だからな・・・・・・。俺様もゆっくりと堪能させてもらうぜ。

「さっきも言ったけど、もう一度。改めまして、です。氷帝学園の三年で跡部景吾の幼馴染をやっています」

が口火を切ると、向かいに座っている真田の方が大きく跳ねた。
顔色も悪すぎる。青褪めたのや土気色を通り越して、今や死化粧をしたかのような平常ぶりだ。
だけど目が泳ぎまくっているあたりに、こいつの動揺が伺える。可哀想にな、真田よ。

「私、前にも秋葉原で真田君を見かけたことがあるんだよね。やっぱり見間違えじゃなかったんだ」
「・・・・・・オイ、それは初耳だぞ」
「だって言う前に景吾が勝手に納得しちゃったんじゃない。エーモエーモがどうとか言って」

―――あぁ、あれか。何だあれは手塚じゃなく真田のことだったのか。
どおりでエロゲーやら何やらを押し付けたときの手塚の表情が可笑しいと思ったぜ。

「でも真田君、『初心者でも簡単に描ける漫画・イラスト入門書』を今日買ったよね? ってことは前は何も買わなかったの?」
「どうせ店に入ることも出来ずに引き返したんだろ」
「あぁ、確かに慣れないうちは入り辛いかも」
「まぁ慣れちまえば全然平気だけどな。恥ずかしがってないでポイントカードも作れよ。あれは後々役に立つ」
「うんうん、立つ立つ。20ポイントで1000円分のお買い物券だもの。60ポイント貯めれば特製テレカと交換してもらえるし」
「今のご時世テレカ使うことなんて滅多にねぇけどな。まぁ希少価値ではあるし、特におまえはトーンやら何やらで入用だろ。悪いこと言わねぇからカード作れよ」

親切で俺とが言ってやると、真田は小刻みに震えながらようやく口を開いた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・こ、これは・・・・・・」
「これは?」
「い、いいい、妹に頼まれて・・・・・・・・・」
「真田君の家のお爺さんって、確か警察で剣道を指南していらっしゃるんだよね?」

『テメーの家族構成なんかとっくに知ってんだよ、バーカ』・・・という内なるを感じ取れなくもない笑顔で、は真田の言葉を一蹴する。
俺たちにとって情報は常に最新のものが必要だからな。そして最低限のデータは頭に入れておくのが鉄則だ。

「な、ななななななならば、はは母が!」
「『ならば』ってなんだ、『ならば』って」
「お母様は踊りの師範をしていらっしゃるんだって? 一度舞いを見せて頂きたいなぁ」
「ち、ちちちち父が!!」
「お父様は確か公務員でいらっしゃったよね? 副業は認められてないんじゃなかったっけ?」
「そ、そそそそそそそ祖父が!!!」
「ずいぶんと多趣味な方だな、オイ」
「にゅ、にゅにゅにゅ入院中の幸村が!!!!」
「幸村君の病院って確かここから近かったよね。帰りにみんなで行ってみようか。ガーデニングが趣味らしいし、綺麗な花束でも持って」

幸村まで持ち出すあたり、真田も形振り構っていられないようだ。
しかし俺とを相手にこの場をやり過ごそうだなんて100億飛んで3年甘い。
つーか真田、いい加減に諦めろ! おまえの所業はすべてお見通しだ!

「じ、じじじじじじ実は・・・・・・っ」
「「実は?」」
「じ、持病の『漫画を描かないと死んでしまう病』が・・・・・・!」

まだ言うかコイツ。いい加減にしねぇと温厚な俺様も怒るぞ。
そう考えながらドリンクバーのコーラを一口飲むと、隣で不穏なオーラを感じて思わず振り向いた。
――――――ここで振り向かなけりゃ俺様の平穏は保たれたのかもしれないな・・・・・・。
まぁおそらく時間の問題だっただろうから、仕方がない。

「おかしな真田君。恥ずかしがることなんて全然ないのに」

おかしいのはおまえだ、・・・!
『さっさと認めろよコルァ。話が進まねーだろ』とかいう内なるを叫ばせつつ、満面の笑顔なんか浮かべるんじゃねぇ・・・・・・っ!

「漫画を描いてることを、どうして恥ずかしく思うの? そんな風に思う必要なんて全然ないと思うよ」
「・・・・・・・・・」
「社会的に見ても漫画を描いている男の人はたくさんいるじゃない。ジョンプもヤンジョンもウルジョンも、どれも作家さんたちは男性がほとんどだよ」
「・・・・・・・・・SYU-A社ばかり挙げていないか?」
「うちの取引先だからね。必要なら他社も挙げるけど。真田君が漫画を描くことにどんなイメージを持っているか知らないけど、私は良いイメージをたくさん持ってるよ」
「・・・・・・・・・」
「だって作家さんたちは作品を通して多く読者に夢と希望を与えているもの。そりゃ読んでいて時には悲しかったり、時には怒ったり、時には泣いたりもするけど、それはすべてその作品が読者の心を動かすからじゃない。私はそういう風に、人に感動を与えられる人って、本当に素晴らしいと思う」
「・・・・・・・・・」
「漫画を描くには画力や表現力、ストーリーテリングとかたくさんの才能が要るし、テニスと同じくらい難しい分野だと思うよ。だけどだからこそ、一作描き上げたときに得るものも大きいんじゃないかな。そしてそれは絶対に、胸を張って誇れるものだよ」
「・・・・・・・・・」
「私は、そんな風に頑張っている人を応援したい。だから真田君も恥ずかしがったりしないで」
「・・・・・・・・・」
「ね? 自然体のままの真田君で良いんだよ」
「・・・・・・・・・」
「一人で殻の中に閉じこもらないで」
「・・・・・・・・・」
「じゃあ、もう一度聞くよ」

まるで菩薩のような笑顔で、は穏やかに問う。

「真田君って、漫画を描くの?」
「・・・・・・・・・あぁ」

その声は常よりは潜められていたけれど、はっきりとした、意志の篭った声だった。



「俺は、漫画を描くのが好きなんだ」



ここは「よく言った真田!」と褒めてやるべきところなんだろうが、何故かそんな気が起きない。
その原因はおそらくの話運びにあったんだろう。
そういえばここんところコイツはハマッてたな。平日の午後にやっている再放送一時間ドラマ。
――――――「はぐれデカ純情派」に。

※はぐれデカ純情派
渋い刑事が義理と人情と直感で事件を解決し、犯人を説得する刑事ドラマだ。
ちなみには毎日欠かさずビデオ録画している。



「真田君はどういうジャンルを描くの? もし以前に描いた作品があるなら、良ければ見せて欲しいな」

運ばれてきたビーフグリルハンバーグステーキを食べながらが話しかける。
ちなみに俺たちは日頃高級料理ばかり食べていそうに見られているが、実際はそんなもでない。
コンビニの肉まんを食べ比べたりもするし、夏祭りの夜店では片っ端から屋台を制覇したりもする。
ファミレスはドリンクバーで何時間も居座れるし、部活帰りなんかだと手軽だしな。利用することは意外と多い。
高級レストランと比べれば味は確かに落ちるかもしれないが、ファミレスはファミレスで美味いとも思う。
ちなみに俺はチキンステーキ&大海老フライの洋風セットだ。向かいの真田はひれかつとびんちょうマグロの和膳を食っている。

「・・・・・・原稿用紙を買ったのは今日が初めてなんだ。だからノートに描いたものくらいしかないな」
「十分だよ! 見たいなぁ。見せて?」
「下手の横好きだから、笑ってくれて構わない」

先程までの悪あがきはどこにやったんだ、てめぇは。
それくらい簡単に真田は鞄からノートを取り出してに渡した。
至って変哲のないB4のノート。その表紙をが開く。
俺様も食べていたフォークとナイフを置き、横から覗き込んで、見た。

真田のノートには、花とフリルと星が舞っていた。
会話、一部抜粋。

『先輩、私、ずっと先輩のことが好きだったんです!』
『駄目だよ、僕には婚約者という定められた人が』
『それでもいいんです! 私、先輩のことを諦められない!』


これは、つまり、あれか。



少女漫画か・・・っ!



ちくしょう、真田、やられたぜ。さすが中学テニス界の『皇帝』だけある。認めてやるよ、この俺様が。
まさかこう来るとは思っていなかった。俺様のインサイトもまだまだだな。位置から鍛えなおす必要がある・・・・・・っ。
いやでもこの場合は真田がイレギュラーすぎたのか? そうだよな、そうだよ、真田がイレギュラーだったんだ!

「へぇ、恋愛漫画なんだ」
「あぁ。・・・・・・変、か・・・?」
「変じゃないよ。だけど少し意外かな。きっと真田君は素敵な恋をしたことがあるんだね。それか素敵な恋を待ってるんだ」

ものすごく今更だが、俺はに相応しい部署は営業課だと思う。
まぁ俺たちは社長の椅子に座るために教育されてるのであって、そんな一般社員なんかになったら宝の持ち腐れだけどな。
ったく、これだから何でも出来るってのは困るぜ。フッ。
真田は箸を置き、神妙な顔をして俺たちを見る。

「・・・・・・・・・良かったら、感想を聞かせてもらえるか?」
「俺様の批評は厳しいぜ? それに耐えられるのか?」
「―――あぁ。何事も挫折せずして上達できるわけがない」

さすが真田、いい度胸だ。
その気概に免じて思う存分コメントしてやろうじゃねぇか。
俺はの手の中にある真田漫画ノートの一番最初のページを開き、口を開いた。

「じゃあいくが、まず最初の表紙。題名からしてもうちょっと考えろ。『★』を入れると確かに少女漫画らしくはなるかもしれねぇが、それも話の内容と合っていればだ。もし外してたら寒いどころか笑いのネタだ」
「もうちょっと端的な題名の方がいいかもね。切ない恋がテーマだから、明るい題名は避けた方がいいと思うよ」
「絵も全体的に見てまだまだ荒削りだな。アップになるとそれがよく判るし目立つ。表情のバリエーションも少ないし、これじゃまるで人形だろ」
「もうちょっと感情を描く練習をするといいかも。例えば笑うときも人の表情って一つじゃないし、眉を少し顰めるだけで泣き笑いにも見えたりするじゃない?」
「ストーリーもありきたりだ。それに今時、婚約者のいる高校生って普通いない。キャラクターを身近に感じるためにも、婚約者じゃなくて彼女の方が良いかもな」
「読者を驚かせる展開が欲しいよね。後はヒロインを好きになる男の子とかが出てきてもいいんじゃないかな。そっと見守る程度でも話の枠は大きく広がるし」
「トーン貼りやベタフラッシュ、コマ割りなんかはこれから勉強するとして」
「あとは背景かなー。遠近法は美術の教科書に載ってるから、それを参考にするといいかも」
「つーか頼むから『先輩の好きにして・・・』って台詞はヤメロ。少女漫画が一気に青年誌向けになる」
「あはは! 景吾、裏モノ想像しちゃった? 後は、どの台詞もちょっと長いかな。一言でぐっと来るような言葉を使うと良いかも」
「例えばここ。『ようやく気がついたんだ。彼女とはずっと昔から婚約者だと決められていたから、傍にいることで好きなんだと思ってた。だけど違ったんだ。俺は本当は君のことが好きなんだ』」
「ちょっと長いよね。『やっと気づいたんだ。婚約者なんか関係ない。俺は君が好きだ』くらいでいいよね。後は感動して頬を染めるヒロインのシーンの間に、先輩が少し語るくらいで」
「それと最後に婚約者のシーンが一つ欲しいな。無いままだと『あいつはどこにいったんだ?』って読者が思うことになる」
「完璧笑顔じゃなくて、少し淋しげに笑うといいよね。そうすると『あぁ、婚約者は本気で彼のことを想っていたんだ』って少し切なさも感じるし」
「まだまだだな。テニスで言うならようやくラリーが五回続くようになったくらいか」
「これからサーブ覚えてスマッシュ覚えて必殺技作って。うっわーやりがいがある!」
「どれだけ上達するか楽しみにしてるぜ」

俺たちの言うことをいちいちメモしていた真田は、俺の言葉に驚いたように顔を上げた。
どうせお堅いコイツのことだ。今まではひたすら漫画のことを隠しに隠して、一人で描いては一人で読んで寂しくやってきたんだろう。
今日出会ったのも何かの運だろうから、まぁ、時おり批評するくらいならしてやってもいい。

「私たちの専門はゲームなんだけど、漫画も読むしテレビも見るから、きっと話は合うと思うよ」
「俺様に不可能はないぜ。精々気合入れて描くんだな」
「ふっ・・・・・・・・・跡部、いつか貴様に『参った』と言わせてやるぞ」
「よろしく、真田君」
「あぁ、よろしく・・・・・・さん」
「何照れてんだよ、てめぇは」

俺様とへの態度が激しく違うことを指摘すると、真田は目を見開いて頬を染め、被っていた帽子のつばを引き下ろした。
何だ、越前リョーマに引き続いて二人目か? ったく余計なヤツばっか落としてんじゃねぇよ。
真田のヤツ、そのうちをヒロインにして漫画でも描き始めるんじゃないのか?
そうしたら間違いなく少女漫画じゃなく少年漫画だな。むしろ成人指定のバイオレンス系かもしれねぇ。
その時は仕方ない。俺様がヒーロー役をやってやる。
まぁ俺様の美は漫画ごときで表現することは出来ないけどな!



それから俺たちはしばらくファミレスで話をした。
漫画について語る真田は、面白いくらい饒舌だった。内容が少女漫画についてじゃなかったら良かったのかもしれねぇけどな。
だけど人の趣味に口を出す気はねぇ。趣味なんていうのは本人が楽しめればそれでいい。

「じゃあまたね、真田君。暇だったらメールちょうだいね」
「あぁ、必ず連絡する」
「サナダクン、オレニモメールチョウダイネ」
「・・・・・・・・・あぁ、そのうちする」
「私、いつか真田君に描いてもらいたいジャンルがあるんだ」

がニッコリ笑って無邪気に言う。真田はの表面だけは美少女な顔に見惚れたのか、また頬を赤くした。
だけど俺には見えた。の中にいる、内なるが!
ヤツは悪魔のように笑って言った。純情少女漫画を崇拝している真田に向かって、ナチュラルに笑顔で!

18禁のエロゲーパロもの。真田君の画風なら絶対にイケると思うんだよね」
「あぁ、それは俺も読むな。任せたぜ、真田。ちゃんとヌケるやつ描けよ」

この後人通りの多い往来で、俺たちは顔を真紅に染めた真田の「けしからん!」という怒声を浴びることになる。
意外なヤツの意外な一面を見た、いろいろな意味で面白い日だった。



「ねぇ景吾」
「アーン?」
「私と景吾がゲーマーで、忍足がコスプレで、真田君が少女漫画でしょ? なんか探せばもっといそうじゃない?」
「同人屋とかロリショタとかか? 確かに世間は狭いからな」
「これから会う人会う人に聞いてみようかなー。『あなたのご趣味は何ですか?』って。意外と面白い答えが返ってきそうじゃない?」
「おまえが聞くと変なのも釣れるから止めておけ」
「類は友を呼ぶってね」

はそう言って笑うが、ってことは俺とおまえと忍足と真田は似てるってことなのか?
いや、俺は関西弁でも丸眼鏡でもコスプレイヤーでも老けても帽子を被っても漫画家志望でもないぞ!
だから俺とあいつらは似てない! たぶん!

「でも私とは似てるんだよねー? だって同じゲーマーだし?」

そう言ったの言葉を否定できないあたり、俺様もそろそろ末期なのかもしれねぇ・・・。
まぁとにかく今日は目的のゲームも手に入れたし、さっさと家に帰るか。でもって少女漫画を読むことにしよう。
ちくしょう、真田の所為で、とっくの昔の卒業した乙女漫画を読みたくなっちまったじゃねぇか!
少女漫画は読むのに恥ずかしいんだよ! あれを照れずに読めるヤツがいたら、そいつは間違いなくエイリアンか天然だ!
故に真田、おまえはエイリアンだ! さっさと星に帰りやがれ!

「星っていうのは神奈川だよ。私たちも早く帰ろ」

に引かれて秋葉原を後にする。
そして久方ぶりに少女漫画を読み直した俺は、しばらく目の中に星が浮かび続けるのだった。
なんたって俺様は王子キャラ★だからな!





2005年1月13日