そういえば。
なんだか色々なことがあって(大半はちょたとの再会)忘れてたけど。
跡部は一体何の目的で私を氷帝に呼び出したんだ?
私とちょたが知り合いなのはどうやら知らないみたいだし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、何のためだよ、オイ。





学園天国(本日はお日柄も良く)





どうにかこうにか・・・・・・というか色々なことがあったうちに部活は終わってしまった。
レギュラーの中でまともに部活してたのって跡部とかばっちだけじゃん・・・・・・。
そんな跡部は今、ジャージから制服に着替えて私の目の前に立っている。

「何さ・・・・・・・・・・」
これでどっか出かけるとか言いやがったら即行殴って帰る。今日はもうダメだ。いろいろとダメだ。
この三時間で魔王一人と一時間手をつなぎあっていたくらい疲れた・・・・・・・・・・。
そんな疲れきってる私を無視して跡部は忍足さんの方へと顔を向ける。
「忍足。コイツと話してみてどうだった」
「どうって、おもろかったで? テンポえぇし楽しいし。女の子やとは思わへんかったけど、そうと気づけばめっちゃ別嬪さんやしな」
。忍足と話してみてどうだった」
「比較的普通の人だった」
言っておくがこれは比較対照が悪すぎるという難点もあるかもしれないけれど。
跡部は満足そうに頷いて、それはそれは偉そうに腕を組んで見下ろして下さった。
そういう態度は似合うけどな!でもやっぱムカつくんだよ!!
「なら話は早い」
何がだよ? ―――――――――あ、やっぱちょ



「忍足と。おまえら付き合え」



っと待って。・・・・・・・・・・と言いたかったんだけど。(嫌な予感がしたから)
―――――――――また間に合わなかったし・・・・・・・・。



跡部のあまりにも突然すぎて何言ってんだかコイツみたいな発言はこの場所にいた全員にそれなりのショックを与えたらしい。
宍戸さんとか、さっきのショックに引き続いて顎が外れそうだし。
向日さんは私と忍足さんと跡部をカクカクカクッって感じで何度も往復して見てるし。
かばっちは普通どおりの顔だけど、目がちょっと驚いた感じの表情をしてるし。
ちょたは――――――――――――――何も見なかった方向でお願いします。
そんな中、話題の中心の忍足さんはニヤリと笑った。・・・・・・・・・・うわっ! ひょっとしてこの人、跡部と同じ人種かよ!?
やばいっ! やばい人と知り合いになってしまった気がする!!
「その『付き合う』っちゅうんは『男と女の付き合い』ってことでえぇんか?」
「それ以外に何がある」
「本気なん?」
「八割方本気だな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
今日の私には拒否権というものがないような気がする。
「理由は?」
「おまえが俺の知ってる男の中での隣を歩いても最低限許せるレベルにいるからだ」
「それ褒め言葉とちゃうよなぁ」
「アーン? 俺の命令が聞けないっつーのか?」
「聞けないわけちゃうけど」
忍足さんと目が合った。
蛇に睨まれた蛙状態! つーかむしろ国王の前で吊るし上げられている罪人状態なんですけど!!
わ、私って・・・・・・・・・・! 私って・・・・・・・・・・!!
悲しんで怯えて泣きそうになってると忍足さんがニッコリと笑った。それはもう―――魔王のように!
「えぇよ。付き合おうか、
い、いいいいいいいいいいいいいいいいいいきなり名前呼びになってるし!!!
「ど、どこにですか・・・・・・・・・・・・・?」
かすかな希望を込めて聞いてみた。の・に!
「ラブホにやったら付きおうてもえぇけど」
「結構です!!」
「わがままな姫さんやなぁ」
「!!!!!!!!!!」
姫ですって!! 姫ですって!!! 生まれて初めて言われた! 人・生・初・体・験☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・つーか私が壊れてく・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そんな中、とっても冷たい地を這うような声が響いた。



「――――――跡部部長」



・・・・・・・・・もはやニコニコ笑顔を浮かべる余裕もないらしい。



「何で俺じゃないんですか?」



つーか怖いよ、ちょた。



跡部は忍足さんから視線をそらしてちょたを見た。
「アーン? 何か文句あんのか、鳳」
「あります。後輩の身でありながらこんなことを言うのは失礼かと思いますが、これだけはどうしても譲れません」
ちょた、跡部に戦いを挑む。跡部、軽く笑って見下す。
「おまえより忍足を選んだのはコイツがテニスでも名が知られているからだ。おまえはその点でまだ忍足に敵わねぇ」
「・・・・・・・・・・・・っなら俺がテニスで名を挙げれば認めてもらえるんですか?」
「あぁ。そのときは許可してやる」
ノオオオオォォぉォォオオオォォオオオオ!!!!!
何でおまえは勝手に私の恋人(!?)を決めるんだ!!
しかもちょたっ! そこで誓約書とか書かせてんじゃねぇよ! 跡部もシャチハタとか出して判子押すな!!
宍戸さんはまだ驚いたまんまだし、向日さんはポッキー取り出して食べてるし。何気にタフだな、この人!
かばっちだけが唯一の癒し系だよ・・・・・・。うん、氷帝ではかばっちが一番だね。近づくとマイナスイオンを感じられる気がする・・・・・・。
「ほな鳳が参加できるまでは俺の彼女やな」
「いえ、いりません。他所を当たってください」
「恥ずかしがらんでもえぇって。ちゃんと優しくしたるさかい」
「結構です」
忍足さんは遠くから見ている分には美青年な笑顔を浮かべて携帯番号とアドレスを教えてくれた。
その笑顔がどこか薄ら寒くて私も大人しく番号とアドレスを教えた・・・・・・・・・。
私って何でいつもこうなんだろうなぁ・・・・・・・・・・・。
何か、もう、もう、さぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



本気で、どうにかして!!



送ると言い張るちょたと忍足さんをどうにかこうにか退けて、溜息をつきながら一人で家までの道を歩く。
もう言葉も出ない・・・・・・・・・。癒しが欲しい。癒しが。
携帯電話を片手に電話帳を探る。
赤澤さん亜久津跡部荒井杏ちゃん池田乾先輩越前大石先輩忍足さん海堂かばっち河村先輩菊丸先輩木更津さんキヨ宍戸さん太郎さん手塚先輩ちょた魔王観月さん向日さん柳沢さん裕太
―――――――――――――裕太!
そう、裕太がいたじゃないか! 私の心の友・裕太!(苗字はあえて口にしない。つーかしたくない)
電光石火の勢いで番号を押す。もう指が完璧覚えてる! 誰にも見えないスピードで打てるし!
機械音が裕太を召喚してくれる。あぁ。裕太早く!!
『もしもし、?』
「ゆうたああぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁあ!!!」
『な、何だよ!? 何かあったのか!? まさか兄貴に何かされたのか!?』
「うえええぇぇぇぇぇぇ! もうヤダ―――――っ!! ヤダヤダヤダヤダヤダっ!!! 助けて――――――――――っ!!!!」
『おいっ! 泣くなよ!! 今どこにいるんだ!?』
「家の近くっ!」
『今から行くから家で待ってろ!』
「―――――え」
断ろうと思ったら電話はすでに切れていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
え? ええええええええええええ? マジ、で?
裕太・・・・・・・・・・・・・・・。



家に帰ってどうしたものかと迷っていると本当に裕太が来てくれて。
人生も捨てたもんじゃないんだなぁと思ったりした。
ママ上の作った夕飯を一緒に食べて、その後でテレビ見ながら喋ったりして。
泊まっていけばと言ったのだが、外泊届けを出さないと泊まることは出来ないらしい。寮って面倒。
今度の日曜の午後には一緒に出かける約束もして。
裕太は手を振りながら帰っていった。
いい奴だなぁ、裕太。
これならまだまだやっていけるかも。
そう思いながらご機嫌で部屋に戻ると携帯にメールが来ていて。
何の考えもなしに開いた私がバカだったんだ・・・・・・・・・。



『すぐにでも名を挙げてを取り戻してみせるから。心配しないでね。長太郎』
『来週の土曜日デートしよな。スカート履いてきてや。忍足』
『中学生のうちはキスまでにしとけ。跡部』



もうどうにでもしてくれ・・・・・・・・・・。
性転換して(男子校だから)ルドルフに転校しようかな、なんてちょっと本気で考えた一日だった。
今日も疲れた・・・・・・・・・っ!





2003年5月19日