15:永久





最初で最後、そいつに触れたのは俺がまだ1歳にも満たなかった頃。
抱き上げられた瞬間、ぞくりと全身に震えが走った。歓喜ではない。それは恐怖と戦慄だった。
この熱は俺を駄目にする。ヒットマンという仮面を剥ぎ、アルコバレーノという鎧を溶かし、俺の全貌を露わにさせる。
そう気づいた瞬間、突き飛ばすようにしてその腕から逃れた。
以来、俺は決してそいつに触れさせることを許さなかった。



柔らかな腕、優しい身体、愛おしい体温。
それらがどんなに心地よいのか知っている。だからこそ触れ合えない。
あいつは俺を駄目にする。揺るがされる。俺のすべてが。



触れられない。触れさせない。触れては、いけない。
おまえだけは永久に、無垢で綺麗なままいればいい。
何物にも汚れず、何者にも穢されず。
そのまま、俺の手の届かないところで。
笑顔のまま、生きればいい。



血に塗れたこの手で俺はおまえに触れはしない。
純白のおまえは、不可侵の聖母。



祈りなど捧げず、俺は今日も人を殺す。
Addio, carissima.





さようなら、愛しい人よ
2006年2月28日