12:眩む胸、融ける情熱





「俺の女に何か用か、コラ」
腕を引いた瞬間、しまった、と思った。力を込めすぎた。痣になりはしないだろうか。
けれど今更引き下がれず、代わりに強く目の前の男たちを睨み上げる。すると男たちはすぐに顔を引き攣らせて去っていった。
残ったのは俺と、護衛対象の女のみ。
握った手が離せない。早く離さないと痕が残る。それは許せないと思うのに、握った手が、伝わる柔らかさが、ひどく心を揺さぶる。
やばい、と思った瞬間、どんっと後ろから衝撃を食らった。
「な―――・・・っ!?」
「すごい! コロネロ君、かっこいい!」
抱きしめられるというよりは、抱き込まれる。まだ彼女よりも背の低い自分が、ものすごく悔しくなった。
背中というより、頭に当たる柔らかい膨らみ。香る甘い香水の匂い。巻きついてくる腕に、ざぁっと全身が熱くなる。
「かっこいいよ、コロネロ君! ありがとう!」
「べ、別に・・・・・・っ! 放せ、コラ!」
「うん、本当にありがとね!」
温かい身体が離れていく。僅かに落胆した心が俺自身信じられない。
このアルコバレーノ自分が。呪われた自分が。
こんな、一人の女に。
こんなにも翻弄されるなんて。



「〜〜〜次までに背ぇ抜かしてやるからな、!」
「え? あぁ、うん。楽しみにしてるね」



三ヶ月の挑戦、期限は次の護衛任務まで。
覚悟しとけ、コラ!





どうしてこんなに愛おしいのか、俺はまだ考えない、考えてはいけない
2006年2月25日