09:さながら、空





刺客から足を洗って、拳法も封印してもらって、それでも私は一年に数度ボンゴレ・ファミリーを訪れる。
表向きとしてはドンの沢田さんから、同窓会でも開くかのように顔が見たいと言われて。
でも本当は、さんの相手をするために呼ばれるのだ。
沢田さんの叔母さんであるさんは、ボンゴレの華。奥深く囲われている、ボンゴレの支柱。
きっと失ったらボンゴレは崩壊してしまう。それを判っているからこそ、さんは滅多に出歩かない。
そんなさんの暇を少しでも減らすために、私は呼ばれる。
幼い頃から構ってもらってるし、私もさんは大好き。だから嬉しいし、沢田さんの信頼も有難い。
・・・・・・だけど、一番の理由は。



ボンゴレには、あの人がいるから。



初めて会ったときから変わらない、美しい人。残酷で愛おしい、綺麗な人。
片思いは今も続いていて、我ながらしつこいとしか思えない。だけど告げようにもあの人の前に出ると緊張してしまって何も言えなくなってしまう。
さんはそんな私を知っていて励まし、応援してくれる。優しい人。本当に大好き。
お姉さんがいたらこんな感じかなってずっと思ってた。
「イーピン」
額を合わせて、さんが微笑む。綺麗な綺麗な人。
だから私は目を閉じる。



あなたが大好きだから、私はあの人に愛を告げない。





あの人が誰を見ているかなんて、ずっと前から知っているもの
2006年2月6日