04:壁越しの告白
小さい頃の俺はてんでガキで、いつもリボーンに挑んではボロボロにやられていた。
そんな俺をあやしてくれたのは若き十代目ドン・ボンゴレであり、その叔母君のさんだった。
あまりにもしつこく泣いているとドン・ボンゴレは俺を放り出してしまうけれど、さんはそんなことはしなかった。
柔らかい膝の上に俺を乗せて、泣き止むまで相手をしてくれた。うるさかっただろうに、うざかっただろうに。
そんな顔は欠片も見せずに、あの人は俺を構い続けてくれた。
出来た人だと今なら判る。あの人は本当に、好い女性だった。きっと世界中のどんな女性よりも素晴らしい人。
そんなさんは、俺の敵になってしまった。
若き十代目ドン・ボンゴレがついにイタリアへと渡るときに、彼はさんに一緒に来て欲しいと告げたのだ。
俺はそのときまで露ほどにも考えたことがなかった。優しいドン・ボンゴレは、ボヴィーノのヒットマンである俺の敵なのだと。
穏やかな毎日に慣れすぎて忘れてしまっていた。俺のいる世界がどんなものかということを。
そして彼がさんの手を引くことで、さんも俺の敵になってしまうのだということを。
考えたこともなかったのだ。なんて浅はかな幼きランボ。
気づいていたら、もしかしたら。100万分の1の確率かもしれないけれど、どうにかなったかもしれないのに。
見上げるイタリアの空は高く、孤独。
俺がどんなに泣き喚いても、あの人はもうあやしてくれない。
現実が怖くて、今はもうあなたに会えない
2006年1月25日