03:あなたは今、幸せですか





ツナの叔母さん、というか俺たちと五歳しか離れてないからそんな感じは全然しないけど、さんはボンゴレ内で孤児院や芸術関係の表部門を一手に引き受けている。
殺しや麻薬なんかの仕事を、ツナは絶対にさんにやらせない。坊主の命令で護身用のデリンジャーを一丁持たせてはいるけれど、それだってかなり渋々だ。
さんはツナの叔母で、肉親はマフィアにおいて第一に狙われる。さんもそれを判っているようで、ツナが心配しすぎるのを安心させるためにも、ほとんど出かけたりしない。
仕事も机に向かっての判断ばかりで、実際に現場に行くのは俺や雲雀だ。さんはきっと、イタリアの街がこんなに賑やかで綺麗なことも知らないだろう。
だから俺は、出かけたときは必ず土産を買って帰ることにしている。



さんの部屋はツナの一階下。ツナは自分の隣にしたがっていたけれど、これはボスに対するケジメだとさん自ら断ったと聞く。
そのドアをノックすると、すぐに明るい声が返ってきてさんが顔を出した。
「お帰りなさい、山本君。お疲れ様」
「ども。これ土産っす」
「ありがとう。お茶入れるから一緒に食べよ?」
さんは笑うとツナに似てる。正確に言えば、ツナの母さんに。
日本にいるあの人は元気だろうか。今も笑ってるだろうか。昔みたいに、明るい顔で。
俺はツナの母さんを、まるで自分の母さんのように思っていた。だからかもしれない、さんに弱いのは。
握られた手首に逆らうことなく、部屋の中へと誘い込まれる。
向けられた笑顔に、同じように笑顔を返して。



触れた箇所が熱くなるのに、俺はいつも気づかない振りをする。





あなたが俺のすべての女だったらいいのに
2006年1月22日