中間テストの時間





返却された答案と成績表を見やり、浅野学秀はすぐさまそれを仕舞い込んだ。そうして立ち上がり、廊下へと向かう。一学年五クラスが並ぶ長いそこには、今は終わったばかりの中間テストの結果が張り出されていた。上位十名なんて、そんな生温いことを椚ヶ丘学園がやるはずがない。一位から最下位まで、すべての生徒の名をテストの点数と共に掲示するのだ。そうすることでE組落ちへの危機感を強めさせ、そうならないように努力するよう生徒たちに強いるのである。
「浅野君、今回もまた一位だね」
「流石だな」
「ああ、ありがとう」
かけられる称賛の声に応えながら、彼の目は一覧を上位から順にさらっていった。そうして見つけた。五教科合計、四百四十四点。百八十六人中、三十七位。E組、
「・・・相変わらずか」
一瞬だけ吐き捨てて、踵を返す。生徒たちは浅野の存在に気が付けば、左右に寄って道を開ける。それは彼がこの成績がすべてである学校において、一年の最初の実力テストのときからずっとトップに君臨してきているのだから当然のことだ。脳裏に浮かぶ姿に、浅野は行儀悪く舌打ちをした。月に一度の全校集会の際に見かけるけれども、浅野の記憶で笑いかけてくる彼女はいつだって二年前の、今より少しだけ幼い姿だ。
『私は。よろしくね、浅野君』
忌まわしい思い出に、浅野は眉間に皺を刻んで、再び荒く舌打ちをした。それはとてもじゃないが、学年一の優等生の姿ではなかった。





忌々しい、あの女。
2013年10月21日