日向でぽかぽかお昼寝しているスティングとオルガがあまりに気持ち良さそうだったので、私も真似をしてみることにした。
そうしたらなんと、拾われた。
今までそこそこ拾ってきたけど、拾われたのは初めてだよ・・・!
路地裏でにゃあと鳴け
私を拾ってくれた奇特な方は、名前を「ひばりさん」とおっしゃるらしい。
真っ黒な髪に真っ黒な目。カラスの濡れ羽色ってこんな色? そんな感じの大和撫子美形さん。ちなみに男。少なくとも出会って三時間は馬鹿笑いをしてないので、確定じゃないけど基本は悪人タイプかと思われる。
何たって出会ったのがうめき声と血で溢れる路地裏だったしねぇ・・・。ひらひら舞うトンファーが綺麗でお見事だったこと。いやはやひばりさん、中々の腕前をお持ちのご様子。
そんなひばりさんは、どうやら動物には優しいらしい。
浴びた血が固まってごつごつしてた私を拾い、バイクを走らせること少し。たどり着いたご自宅と思われる純和風のお屋敷で、すぐにお手伝いさんによって総ヒノキのお風呂に入れられた。
その際に知ったのだけど、「ひばりさん」はどうやら「雲雀さん」らしい。表札に出てたってことは名字か。綺麗な名前だなぁ。ひばりひばり。
血と埃を洗い落とされて、シャンプーとリンスをしっかりされて、しかもドライヤーなんかかけられちゃって!
上げ膳据え膳状態で、つれていかれたのは雲雀さんのお部屋。お手伝いさんによると、どうやらお名前は「きょうやさま」とおっしゃるらしい。きょうや。雲雀きょうや。うん、さすが美形は名前も綺麗。漢字はどう書くんだろう。
「へぇ、綺麗になったね」
窓際に座ってた雲雀さんが私を見て言う。ナチュラルに「ありがとうございます」とか言いそうになったよ。やばいやばい。アニメーガスじゃなくて薬を用いての変身だから、言葉は普通に喋れるんだよね。ぼろを出さないように注意しなくては。
とりあえず言葉の代わりに雲雀さんの前までいって、ちょこんと座ってみる。おお! これが俗に言う「おすわり」か! 偉いね、私!
「黒い毛に赤い目。嫌いじゃないよ、その配色」
ありがとうございますにゃー。リドるん配色ですにゃー。
伸びてきた手が私の喉元をくすぐる。うーわー雲雀さん、指も綺麗だよ。トンファーを握る、ひ弱じゃない、しっかりとした男の人の手。
そういや雲雀さん、何歳なんだろう。学ラン着てるとこからすると学生だけど、落ち着いてるし、高校生か?
「あぁ、柔らかいね」
年齢考察してたら抱っこされた。褒められたので感謝の意を示し、手をぺろっと舐めてみた。
そうしたら・・・・・・おお! 雲雀さんが笑った! やっぱ美形だなぁこの御方!
「君は群れてないし、自分のことが自分で出来るなら僕の傍にいてもいいよ」
しかもお優しい言葉もかけて下さった。悪人なんて言って申し訳ない。雲雀さんは天使です。エンジェルきょうや。
そんな雲雀さんは私に座布団まで用意して下さったので、夜はそこで寝た。
ちなみに夜中に寝返りを打ったら雲雀さんが起きた。ちらりと見られたけど、トンファーで攻撃はされなかった。
・・・・・・・・・この人は結構、言動によらずナイーブなのかもしれない。
ひばりさん、それは前風紀委員長のおばあさまだよ!
2006年7月3日