魔女と俺様(笛ポタ番外編)





では始めましょう。による「真実の愛」講座。
ちなみに受講料は土地&お城の権利書。ちなみに家具も全部含んでますから。
それに見合った教えは説きましょうかね。



「まず跡部さん、あなたにとっての『愛』とは何ですか?」
「そんなのセックスに決まってんだろ」
とりあえず、ハリセンで一発。



「跡部さん、あなた今まで好きになった女の人とかいましたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ただ単に寝ただけの女性はナシですよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いねぇ・・・・・・・・・・?」
「初恋もまだですか」
人のことは言えないが、とりあえずハタキで叩く。



「 『愛』ってお金で買えると思いますか?」
「思う」
とりあえず、六法全書さんで殴っておいた。(双方から悲鳴が上がったが無視)



「こりゃもう無理っすね」
この三分で判ったよ。ランプさん、箒さん、どうぞ諦めて物質として一生をお過ごし下さいませ。
いつまでも新品同様の輝きであることをお祈りしております。
「ああああぁぁぁぁぁ! そんなこと言わないで下さいよ! お願いします、さん!!」
「ランプさんがそうは言っても無理なものは無理ですから。というか土台無理な話なんですよ」
そうだよ、最初から無理な話だったんだよねぇ。あーもっと早くに気づいてればこの三分を無駄にすることはなかったのに。
まったく、私もまだまだだね。
「無理って、何でだよ?」
箒さんが聞いてくる傍ら、私は手を伸ばしてクッションさんを捕まえた。
おぉ、ふわふわ! 何という羽毛! これはもう最高級を使ってるに間違いナシ!
・・・・・・・・・というか、クッションさん? 私の胸に擦り寄ってきて何か楽しいですか? 楽しいならいいですけどね。
そんなのんびりとした空気を無視して、真剣な瞳を向けてくるランプさん・箒さん・跡部さん。
他の方々はどちらかと言えばどうでもいいようなお顔をしていらっしゃって。
あ、でも洋服ダンスさんの表情はちょっと読みづらいかもしれない。
うんでもさ、やっぱね?



「だって私も跡部さんと一緒で『真実の愛』なんて知りませんから。知らないものは教えられないでしょう?」



ということで、諦めて下さいな。



私の告げた事実に三人は沈黙してうなだれて、そしてその他はそりゃそうだとでも言うように納得して見せてくれた。
理解の早い人が多くて嬉しいよ、まったく。
やっぱ頭は柔らかいに越したことはないからねぇ。酢でも飲んで柔軟になって下さいな。
あ、でもランプさんは酢を飲んだら灯りが消えちゃうし、箒さんは酢を含んだらモップになっちゃうし。
飲めるのは跡部さんだけかぁ。その尻尾とか柔らかくなってふにゃふにゃになったらそれはそれで面白いかもだけど。
というかクッションさん、くすぐったいです。私の普通程度の大きさの胸に顔(?)を埋めて楽しいですか?そうですかそうですか。
でもいいや、クッションだし。宝石箱さんも来ます? 中身が入ってるならオッケーですよ。むしろカモン☆
六法全書さんはいいや、重いし。洋服ダンスさんはオッケー。箒さんもランプさんもオッケー。
遠くで「下克上だ!」って言ってるコーヒーカップさんも、「やるねぇ」って言ってる鏡さんもみんなみんなオッケーオッケー。
でも猫はダメ。だってコスプレバーで働いてもらわなくちゃいけないし。
あーでもこの人、性格と言動から言ってまともに働くにはどう見ても向いてないよね。
でもまぁ世界中探せばこういう俺様で女たらしで泣かせて悔しがらせてみたいような猫男が好みな人もいるだろうし。
最悪は研究所に売り渡せばいいしね。うん、よしよし。これで私は安心して日常生活に戻れるわ。
つーかいい加減に戻んないと授業もやばそうだし。まさか年数単位で時が進んでたりしないよね?
ちょっと指名手配写真はマジで勘弁。
鞄はどこかなーって探してた、ら。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あーもう泣かないで下さいよ、跡部さん」



あぁもうどうしようもないな、この人は。
「・・・・・・・・・・アーン? 誰が泣いてるって?」
「跡部さんでしょ」
ちょっと郭君風に言ってみた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
うっすらと目の端を赤く染めて、うつむいている跡部さん。
耳がぺちょっと垂れてて、尻尾はだらっと床に落ちてる。
・・・・・・・・・猫は嫌いじゃないんだよねぇ。どっちかっていうと好きだし、一人で生きている野良猫とかめちゃくちゃ尊敬するし。
跡部さんは野良とは言えないけどさ、動物は一般的に好きなんだよ。
ペットとして飼うにも、実験材料として買うにもね。
「跡部部長・・・・・・・・・」
ランプさんがグスンと鼻をすすり上げて半猫の名前を呼んだ。
なんだ、やっぱり人望あるんじゃない。うん、可愛い可愛い。
ふかふかの猫耳が心地よくて、そこに軽いキスを落とした。
そうしたら跡部さんは驚いて顔を上げるし、ランプさんたちは驚いたように悲鳴を上げるし、クッションさんはますます顔を擦り付けてくるし。
食事が美味しかったから、今日は特別。
「魔法を解くのは魔法使いの仕事だし」
実はまだ半人前にも満たないだろう見習い魔女だったりするんだけれど。
今はまぁ、信用するふりだけしといて下さいな。



「その代わり、魔法をかけた魔女には復讐とかしないで下さいね?」



そのときはここにいる全員をネズミに変えてネズミーランドでバイトさせるから。
そう言ったら半猫を含めて全員頷いてくれた。うん、やっぱ物分りのいい人は好きだなぁ。
熊に変えてハチミツ取りに行かせるっていうのもいいけどね。どっちがいいか考えといて。
そう言いながら私は杖を軽く振った。





2003年6月10日