魔女と俺様(笛ポタ番外編)
「あはははははははっ! もう最高っ! 俺、さっき見ててめちゃくちゃ笑いそうだったもん! 〜〜〜〜〜あーもっ苦しっ!!」
ところ変わって大広間。暖炉の前で宝石箱さんが喋ってる。この箱、蓋の形が面白いね。V字カット、実に良し。
ちなみにこの物さんの名前は向日岳人さん。
でもってさっき主の居場所を教えてくれた洋服ダンスさんは樺地さん。樺地宗弘さん。
そしてこの大広間の暖炉の前で丸くなっているクッションが芥川慈郎さんというらしい。
というかクッションさん、寒いからってあんまり暖炉に近づくと羽毛が灰になりますよ? それは勿体無い。
「うるせぇ向日! いい加減黙れ!」
城主様から宝石箱さんへ一撃が加えられた。おぉ猫パンチだよ。マジものの猫パンチだよ。100%天然物。
デジカメ、翼さんに借りてくれば良かった。撮っておいて見せたかったよ、ホグワーツのみんなに。
ちなみに今攻撃を加えられた城主様。
かの人の名前は跡部景吾さんと仰るらしい。
一説によるとこの城と財産と見渡す限りの土地を有する、素晴らしいお金持ちだとか。
・・・・・・・・・あぁ、なんて素晴らしい人! 金持ちだよ、金持ち! いいねぇ羨ましい!!
「で、どうしてそのお金持ちな跡部さんが、半猫人間になられているのですか?」
そう尋ねたら跡部さんはちょっと凹んだ。『半猫』という言葉が堪えたらしい。
ダメじゃん、もっとタフに生きなきゃねぇ。
「いや、跡部の女癖の悪さにムカついたらしい魔法使いがいてな、ソイツが魔法をかけたんや」
「それは跡部さんが悪いですね。自業自得ですよ」
「せやろー?」
六法全書さんは良い部下ではないらしい。跡部さんがますます凹んで、でも六法全書さんをバシッと殴った。
しかしそれも猫パンチ。
全然ダメージ与えられないね。というか物質を殴っても跡部さんの方が痛いんじゃないのかなぁ。
ま、いいけどさ。でもとりあえず。
「どうすれば跡部さんは元に戻るんですか?」
恥ずかしい写真がメディアに流される前に帰りたいんで、手早くお願いします。
・・・・・・・・・だからさ、黙んないでさっさと言ってってば。
「・・・・・・・・・・・真実の愛・・・・・・・・・」
――――――――――ホワッツ?
「真実の愛を見つければ、跡部は元の姿に戻れるんや」
「キャー恥ずかしっ! こんなん俺のキャラやないねん! 鳳、自分言わんかいっ!」
「なっ!? 俺だって恥ずかしいんですよ、忍足先輩! やっぱこういうのは宍戸先輩の方が似合ってます!」
「ゲッ! 何言ってやがんだ鳳! つーか向日、おまえが言え! おまえなら明るく言えるだろ!?」
「ヤダって俺も恥ずかしい! 『真実の愛』なんて冗談でしか言えないって! っていうか跡部、おまえ自分のことなんだから自分で言えよな!!」
ハイ、それはまったくもって正論だと思いますね。
『真実の愛』なんて素面じゃ言えないでしょ。まぁ必要に迫られればいくらでも言うけどね。
ということはさ、何か?
「アイノリでも見られたらいかがですか?」
「もう見た」
「大家族のドキュメンタリーは?」
「見た」
「介護に生きる家族のドラマは?」
「見た」
「ヨミガエリは?」
「見た」
「ペット大集合は?」
「見た」
「意外と暇人なんですね、跡部さんって」
「・・・・・・・・・・・・・・・うるせ」
まぁ努力をしたという点は認めましょう。それが一日テレビを眺めていたということであっても。
たぶんアレだね、この手のタイプの人は自分が体験しないと『真実の愛』に気づけないんだ。
・・・・・・ってことは、つまり?
私が、跡部さんに『真実の愛』を教えろと?
「却下」
「そこを何とかっ! 何とかお願いします、さん!」
ランプさん、何を言っても無駄ですよ。私にだって選ぶ権利くらいは欲しいんですけど。
「たしかに跡部は俺様だし、嫌味な奴だし、しかも今は半猫だけど、でも・・・・・・・・・・っ!」
実はやっぱり跡部さんのことが嫌いなんですか、箒さん?
「跡部も顔だけはえぇし、今ならフカフカの猫っ毛も触り放題やで?どや?」
うーん、猫っ毛にはちょっとクラッと来たかも。いいとこ突くねぇ、六法全書さん。
「でもって無事に元に戻ったらお城のものは全部のものに! それでもダメ?」
「引き受けましょう」
宝石箱さんの言葉に頷いて。
さぁ、そこで呆けている猫さん。レッスン始めますよ。
2003年6月9日