魔女と俺様(笛ポタ番外編)





・・・・・・・・・つーかこの城、広い。
というかさっきの図書室は何。もう素敵すぎて時間が経つのを忘れかけたよ。(箒さんに呼ばれて我に返っちゃったけど)
装飾品もたくさん並んでるしね。ホグワーツと違うのは学校目的で作られたんではないから、色々と調度品が多いとこ。
これ売ったらいくらぐらいになるかなぁ・・・。欲しい実験器具があるんだけど。帰るときに一つくれるように頼んでみよう。
「ここが、アイツの部屋だ」
――――――――――ハッ! やばい、他のこと考えててすっかり忘れてたよ!
私ってばご主人に会いにきたんじゃん! うっわーサッパリ忘れてた。あーあ、記憶力悪くなったなぁ。ヤバヤバ。
これじゃ郭君に言われた決闘の約束も忘れるわけだ。泣きそうだったなぁ、あのときの郭君。
まぁでも過ぎてしまったことは仕方ない。今度何か埋め合わせでもするということで。
「奥にいるから行ってやってや。ちょお散らかっとるけど勘弁な」
六法全書さんに進められて部屋へと入る。薄暗い、電気もついていない部屋。
とりあえず喋りそうな物の気配を探って進んでいくと、壁際に誰かがいるのが見えて。
大きな大きな洋服ダンスさん。この人がご主人なのかなぁ。
聞いてみようと思ったら窓の方を示されて。
「・・・・・・・・・あちらに、いらっしゃいます」
小声で示されたから会釈をしてそっちに足を進めてみた。
窓際、今日は新月だから月の光はなくって、星の明るさだけが頼り。
そんな中、窓ガラスに何かの影が見えた。
「・・・・・・・・・・・・・・樺地か・・・?」
お、声は中々に美青年風。
「いえ、この城に紛れ込んだ普通の少女ですけど」
答えたら影がビクッと動いて。布の擦れる音がする。
「・・・・・・女・・・・・・・・・?」
「一応そうです」
とりあえず、男ではないとは思うし。
「俺を元に戻せるのか・・・・・・・・・?」
「いや、それは判りません」
あ、凹んだっぽい。気配だけで分かる分かる。
というかどうすればこの人は元に戻ることが出来るんだ? 私は方法を知らないんだから戻せないに決まってるじゃん。
でもさ、とりあえず。
「姿、見せていただけませんか?」
めちゃくちゃ気になってるんで。
「・・・・・・・・・・」
「無理にとは言いませんけれど」
いや実はかなり無理してでも見たかったりするんですけど。
だって気になるじゃん? 今まで喋ってのって六法全書と箒とランプと洋服ダンスだよ?
これを統べる親分って一体何? 何が一番偉いの? 生態ピラミッドの頂点は一体何!?
気―――――に―――――な―――――る―――――っ!!
「・・・・・・・・・笑わないと約束できるか?」
「ハイ、約束します」
本当は笑えるかどうか判断してからじゃないと無理だけど、なんだかこの人はそう言ったらテコでも見せてくれなさそうだから、とりあえず。
「絶対だな?」
「ハイ」
なんとなく思ったけど、この人は郭君やドラコ属性だな。ということはスリザリンか。
リドるんとS氏に似てなきゃいいんだけど。
影が気配を濃くしながら近づいてくる。
窓から入る星の光が、うっすらとその姿を映し出して。
背の高いその人は、私の目の前に立つと自分の被っているベールへと手を伸ばした。
シュルリと音を立てて、布が落ちる。
瞳が、合った。



「・・・・・・・・・・・・・・あなた、科捜研送りですかね」
それか生物兵器を開発している国へ密輸入とか。
そう言ったら目の前のこの人はワナワナと拳を震わせて叫んでくださった。
「そうなんのが嫌だから元に戻りたいっつってんだろーがっ!!!」
ピンッと尻尾がまっすぐに立つ。



そう、尻尾。



背の高い男の人。
灰色の髪の毛は夜には銀色に見えて高貴そうな雰囲気を醸し出している。
顔はまぁ、個人の趣味にもよるだろうけれど、わりと整ってるっぽいし。
手足は長いしバランスもいい。
断言しても良い。この人は絶対、モテるタイプの男の人だ。
たとえグレーの猫耳が頭についていようと。
同じグレーの猫尻尾がお尻についていようと。
そしてまた同じグレーのグローブみたいな猫足が両手両足についていようと。
この人はきっとモテるタイプの人間だ。



きっと、コスプレバーとかで。



「〜〜〜〜〜〜ふざっけんな、てめぇぇぇぇえ――――――っ!!!!!」
あ、この猫、毛並みも最高級。





2003年6月8日