人生というのはやはり時間軸上で起きた順に体験していくべきだと実感したね!
いや確かに私の時間軸では今現在が正しいのかもしれないけど、でもやっぱり世界の歴史と照らし合わせて一からこなしていくべきなんだよ。
だってそうすればこんなことにはならなかったし! つーかむしろ人生変わってたんじゃないの!? 私じゃなくて彼の一生が!
あぁもう本気でごめん! でも不可抗力だと思うんだ! だけどやっぱり許して下さい!
あなたは私のことを知っていたのに全然初対面で本当にごめん!
「というわけで、テッド! 三度再会し直そうか!」
ソウルイーターをぎゅっと握り締めて歓声を上げる。
私がテッドと出会ってから早20年! テッドが私と出会ってから早170年!?
多すぎる誤差を今埋めるから! 待ってて、テッド!
おめでとう再会、ありがとう再会!
あぁもう本当に何で私はちゃんと歴史通りに人生を積まなかったんだろう。つーか最初に170年前に飛ばせよ、ブロック!
そうすりゃ私は普通にテッドと出逢えたのに! その後の彼の長い旅も一緒できたかもしれないのに! なのに何で光らなかった! ヒッキーの陰謀か、コレ!?
「・・・・・・?」
「こんにちは、。久しぶり? だけどちょっと話してる時間も惜しいからソウルイーターを貸して。むしろテッドを寄越せ」
「テッドって・・・・・・え? ちょっと待って、何で」
「それが話と長くなるんだけど私ってばついさっきまで170年くらい前の時代に行っててさ、そこでテッドと出逢ってたわけよ。つまりテッドからしてみれば私とはずーっと昔に知り合ったって事みたいなんだけど、私からしてみればその事実は後付なわけで。いやむしろ大事なのはそこじゃなくて、過去に行って判ったんだけど、実はテッドからしてみれば私とはずーっと前に紋章を共鳴させてるんだよ」
「判り辛いよ」
「とにかく私の真なる愛の紋章と、ソウルイーターは共鳴したってこと。アンダースタン?」
「あぁ、それは判ったけど」
「そう、ここからが重要!」
事態についてこれてるのか来れてないのか微妙なの両手を握りつつ。
さぁ、過去に行ったことで得た衝撃の事実を告げましょう!
「実はこの真なる愛の紋章は、共鳴したことのある真の紋章所持者を甦らせることが出来るんだよ!」
まぁこの能力はヒッキーが教えてくれたんだけどね!
今まで迷惑に思っててごめんよ! やっぱり最高だよ、この真なる愛の紋章は!
「よみ・・・・・・がえ、る・・・? テッドが・・・・・・?」
呆然としているの手を思い切り振る。ソウルイーターに在住の方、悪い酔いしたらごめんなさいね!
「そう! 真の紋章で共鳴した相手に限るから、テオ様たちは無理なんだけど、テッドならどうにか!」
「・・・・・・本当に・・・・・・?」
「不肖、この手の嘘は吐きません!」
断言してみせれば、の瞳が揺らぐ。握っていた手が逆に強く握られる。
その力がの気持ちを十分に教えてくれた。でも、でもね。
「・・・・・・・・・非常に言いにくいんだけど」
「・・・・・・何?」
「実は甦るにはその人の身体が必要になるわけで」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・テッドの身体は・・・」
「皆まで言わなくともオッケー。むしろ骨から作ったらネクロマンサーになっちゃうということで」
途端に顔をゆがめたを安心させるように、にっこりと笑って。
「テッドの新しい身体は、私が用意してみました」
持参してきた風呂敷をの前に突きつける。
さぁ、テッドの復元だ!
暴走してどうなるか判らないから森の中に移動して、テッドの身体となるものを地面に置く。
緊張のあまりか冷たくなっているの右手を握って、安心させるように微笑を向けて。
左手の紋章に意識を集中させる。
私の紋章と、のソウルイーターが共鳴しあう。
痛さはない。感じる熱が最高になった瞬間、言葉を紡ぐ。
「我が真なる愛の紋章よ、我が愛に応えて力を示せ」
意地っ張りで、でも優しいテッドを思い出しながら。
両の手のひらに力を込める。
「――――――永久の愛執!」
光の眩しさに目が眩む。
が私の手を痛いくらいの力で握る。
僅かに動いた影。
揺らめくそれは、紛れもなく用意した身体。
彼が・・・・・・現れる。
「テッド・・・・・・!」
の声に応えるように、その姿が見えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
声は以前と変わらない。その喜びにが一歩前へ出た瞬間。
勢いのある蹴りが、の腹に決まった。
吹っ飛ぶを他所に、影は見事に着地する。うんうん、どうやら成功の様子。やったね、さすが私!
「やったじゃねーよ!」
テッドの声が叫ぶ。
「何で俺はこんな姿で生き返ってるんだよ!?」
「何でって、さすがに人間の身体を一から作るには私の法というものに引っかかるので、ここは妥協して」
「妥協した結果が何で!」
びしっとテッドは自分を指差す。いや、前足でさす。
「何で俺が犬になってんだ!?」
紛れもないテッドの声は、小麦色さくさくの柴犬から発されていた。
よっしゃ大成功! ハラショー、私!
「ハラショじゃねーよ!」
反論してくるテッドの言葉は聞こえません! だってルックは猫だけどテッドは柴犬のイメージだったから。
お腹に雷鳴の紋章もつけておいたから、それで許して下さいな。
まぁ、何はともあれ。
「これからもよろしく、テッド!」
2006年1月4日