忌々しいハルモニアから帰ってくると、何故かセラとが楽しそうに談笑していた。
様、今日は泊まっていって下さるのですか!?」
「んー、セラちゃんさえ良ければそのつもり。今日はもうどこかに攻撃しに行ったりしないでしょ?」
「はいっ! じゃあセラ、頑張ってご飯作ります!」
「ありがとう。私も手伝おうか?」
「えっ! ですが様の手を煩わせるわけには・・・・・・っ」
「いいっていいって。一緒に台所に立とう? 親子・・・っていうか姉妹みたいに」
「は、はい! セラ、嬉しいです!」
・・・・・・・・・出会ってからこっち、やけにセラがに懐いている。
っていうか君たち、一応敵同士なんじゃないの?





ちょっと待てやコラ





結論から言えば夕食は美味しかった。
僕たち破壊者一行ではセラかアルベルトが食事を担当しているけれど、アルベルトは今日はササライのところに行っている。
だからセラと、さっきの会話から推測すればが夕食を作ったらしい。
ところどころ見慣れない料理があるから、それがきっとの世界のものなんだろう。
様、この『肉じゃが』というもの、とても美味しいです!」
「ありがとう、セラちゃん。これは私の世界だと『お袋の味』の代表的なものでね、家庭の味に飢えている独身男性を落として結婚に持ち込むのに有効なアイテムなんだよ」
様と結婚できる人は幸せですね。・・・・・・でも、セラもずっと様と一緒にいたいです・・・」
「じゃあセラちゃん、私と結婚する?」
「えっ」
「あーでも夫婦だと離婚ってこともありえるから、姉妹になろうか? 私がお姉さんで、セラちゃんが妹。うわぁ、私めちゃくちゃセラちゃんのこと可愛がっちゃいそう」
「嬉しいですっ! えっと・・・・・・、姉様・・・・・・?」
「なぁに? 私の可愛い妹、セラちゃん」
姉様・・・・・・!」
何だろう、この花の舞っているような空間は。何で今日に限ってアルベルトだけじゃなくユーバーまでいないんだ。
の血を買うために働きに出てるって話を聞いてたけど、まさか本気じゃないだろうね? そうだったら馬鹿馬鹿しすぎる。
一応これでも僕たちは破壊者なんだよ。こんなのん気に食卓なんか囲んでいていいわけがない。
「ルック、美味しい?」
「・・・・・・・・・まずくはないよ」
「ルック様! せっかく姉様が作ってくださったのに、なんて言い方を・・・!」
「いいよ、セラちゃん。ルックはいつもこうだし。でもセラちゃんは素直な感想を言える子になろうね?」
「もちろんです! セラ、姉様のお料理は美味しいから大好きです!」
何、この僕を無視した団欒は。どこの女子校? グリンヒルだって共学のはずだろ。なのに何でこんなことになってるわけ?
っていうか一番気に食わないのは。

から笑顔を向けられる度に、こっちを見て小さく笑うセラなんだけど・・・・・・!

君は僕の野望を手伝うためについてきたんじゃないの!? それなのに何、その挑戦的な笑みは!
その小馬鹿にするような笑みは僕への挑戦と受け取っていいんだね!? それなら受けてたつよ、セラ!
姉様、今日はセラと一緒にお風呂に入りましょう! お背中お流しします!」
「ありがとう。流しっこしようね。ルックも一緒に入る?」
「ダメです! 姉様の玉の肌をルック様に見せるなんて勿体無いです!」
「そう? じゃあ姉妹水入らずってことで」
姉様・・・っ!」
の行動はいいよ。どうせ元々がこういう性格をしてるんだから。
だけどセラ・・・! 君、いつの間にそんなに憎たらしくなったのさ! この僕を差し置いてを独占するなんてね・・・!
こんなことなら魔術師の塔に置いてくるんだったよ。そうすればは僕が独占できたのに。この料理も背中を流す権利も僕のものになったのに!

姉様、セラはどこまでもお姉様についていきます!」

あぁもう一刻も早く僕の野望を果たさなきゃね!





2005年6月17日