誰もが寝静まった、静かな夜更け。
もしも音楽が聞こえてきたのなら、素直に身を委ねなさい。
そうすればきっと、可愛い可愛いパンダに会える。
でも気をつけて。
そのパンダがエメラルドグリーンなら、あなたは無事でいられない。
【メロンパンダ】
基本は通常のパンダの黒い部分がエメラルドグリーンだが、個体の機嫌によって変化する。人を惑わせる言動が多いが、本人にその意思はあまりない。好きなときに好きなことだけやる。飼い主にはとても従順。お膝抱っこが好きらしい。
【対処法】
話しかけられる前に、とにかく逃げる。基本的に運動を好まないため、追ってこない。
校舎も木々も何もかも、夕焼け色に染まる時。
もしも歓声が聞こえてきたのなら、そちらへと足を運びなさい。
そうすればきっと、小さく愛しい、ウサギに会える。
でも決して目を合わせてはいけないよ。
合ったが最後、あなたは戦火の宇宙へ放り込まれてしまうから。
【オレンジウサギ】
外見はドワーフホトに似ている。相手をからかうことが好きで、よく悪戯をする。後ろ足の脚力はサッカー選手にも匹敵するらしく攻撃力も高いとか。クイディッチの試合には欠かさず登場するらしい。飼い主に従順。抱きしめられるのが好きらしい。
【対処法】
目を合わせない。キラ・ヤマトもしくはアスラン・ザラに会いたければ睨み合うのも可。
太陽が地平に顔を出し、世界が目を覚ます時。
もしも静かな気配を感じたのなら、そちらへと視線を移しなさい。
そうすればきっと、凛々しく雄雄しい、ゴールデンレトリバーに会える。
彼は優しいから、きっと近づいても大丈夫。
だけど太陽が完全に現れる前に、そっとその場を離れなさい。
でないとあなたは、囚われてしまうだろうから。
朝日の中、姿を変える美しい人に、心を奪われてしまうだろうから。
【ゴールデンドッグ】
男らしい精悍な顔つきをしている。他者をからかったりはせず、基本的に傍観しているが、気が向けば相手をしてくれるとかくれないとか。図書室で確認されたこともあるらしい。飼い主には従順。アニマルズの兄貴的存在。
【対処法】
特に必要なし。読書が趣味なら友人になれる可能性もある。
穏やかな日常、軽やかな笑い声。
もしも華やかな舞に気づいたのなら、静かに微笑を浮かべなさい。
そうすればきっと、可愛い桃色のヒヨコに会える。
だけど彼女に別れを告げてはいけないよ。
さよならを言ったが最後、あなたは闇に堕ちるから。
彼女の叫びと涙に、すべてを潰されてしまうから。
【桃色ヒヨコ】
手のひらサイズで、音楽を聞くとくるくると踊りだす。海が好き。優しく構ってやると懐いてくれるため可愛らしいが、基本的に他人をあまり意識していないため過剰な期待をしてはいけない。飼い主とお風呂に入るのが好きらしい。
【対処法】
特に必要なし。歌うと振り向く。
水道、お風呂、川に湖。
ぽたぽたぴちゃん。そんな音が聞こえたのならお逃げなさい。
空色のコアラに見つかる前に、遠く遠くへ逃げなさい。
でないとあなたは捕まってしまうから。
愛らしい外見を裏切る彼に、引きずり込まれてしまうから。
底のない青い深淵に、どこまでも飲み込まれてしまうから。
【空色コアラ】
他者をからかう点において、パンダやウサギよりも性質が悪い。水のあるところはどこにでも登場できるため、その傾向は更に増している。何だかんだ言いつつヒヨコの面倒は見るらしい。飼い主に構ってもらえないと木からジャンプキックを披露する。
【対処法】
とにかく逃げる。プロレス技をマスターする。
草陰、木の上、緑の葉の中。
ふんわり尻尾を見つけたのなら、視線を逸らさず近づいてごらん。
そうすればきっと、若草色のキツネに会える。
見詰め合うのはいいけれど、言葉を交わしてはいけないよ。
穏やかな彼は悲しみと、混沌を密かに抱いているから。
あなたの語る幸せを、彼が見逃してくれたならいいけれど。
【若草フォックス】
誰もが触りたくなるふんわり尻尾の持ち主。基本的に他者をからかったりはせず、穏やかな性格をしている。移動するときはコアラを背に乗せ、その更に上にヒヨコを乗せることが多いらしい。ストレスは飼い主に癒してもらうとか。
【対処法】
特に必要なし。道を尋ねると肩を竦めながらも案内してくれる。
道を失い、場所を失い、迷ったのなら気をつけなさい。
視界を横切る柔らかな色に、安堵を覚えてしまうから。
ふんわりとしたくるくるの、クリーム色の羊は質す。
あなたは一体誰なのか、あなたは一体何なのか。
あなたは一体どうあって、何のために生きるのか。
もしも言葉を失ったなら、彼はあなたに代わるでしょう。
だからどうか気をつけて。何も失わないように。
【クリーム羊】
羊毛はくるくるのもこもこふわふわ、青い瞳で相手をじっと見つめることが多い。あまり他人と関わろうとはせず、一人静かに過ごすのを好む。鳴き声は「ギルギル」らしいが聞いた者はいない。飼い主に撫でられるのが好きらしい。
【対処法】
質問に答えられなかった場合、遠くを指差して「あ、ラウ!」もしくは「あ、議長!」と叫び、羊の視線が逸れているうちに逃亡する。以後は顔を決して合わさないようにする。合った場合、騙されたことを怒った羊に100倍の報復を受けるだろう。
これらの飼い主はかつてのホグワーツ魔法魔術学校日本校の生徒という噂もあるが、定かではない。また、他の怪談も多数伝えられているが、それらすべてを知ると災いが降りかかるという言い伝えがある。しかしいつの日かこれらの謎を解明してくれる勇気ある者が現れるのを、我々は乞う。
【ホグワーツ魔法魔術学校日本校新聞部より】
2006年1月22日〜2月19日トップ小話