ついにBクラス。ついにBクラスに突入しました。いやー長かったようで短かった一ヶ月半。シムカちゃんと出会ってからこっち、エア・トレックの毎日だよ。零がすねてるけど面白いんだから仕方ない。今じゃクロトたちも暇を見つけては庭で練習してるもんね・・・。わざわざ練習場まで作っちゃったし。
まぁでもそのおかげで戦闘数値も80越えしたわけだし、そろそろ腰を落ち着けて貫録でもつけるべきか。あぁだけどチャレンジャーのみが持つ若さも捨てがたい。
とりあえずちょっとだけペースを落として、私闘で腕を磨きますかね。
14.魔女っ子、雷をベッドに誘う
エア・トレックを走らせて、夜の街を走る。今日はシムカちゃんも用事があるらしく一人でのんびり。
縦横の凹凸も登って降れるところが魅力だね。垂直なビルもどんとこい。
何して遊ぼうかな。他所のチームでも見に行くか、もしくは美形ハンティングでもしてみるか。
咢君からのコールはないけど遊びに行ってみようかな。シムカちゃんの話では、彼のいる『小烏丸』は将来ものすごく有望なチームらしいし。
あぁでも『空の王』には関わるなって海人さんに言われてたっけ。じゃあどうしよう。蓮ちゃんのとこにでも遊びに行くか。
「・・・・・・よぉ」
「こんばんは、鵺君。早く寝ないと背が伸びないよ?」
「ガキ扱いすんじゃねぇよ」
いつの間にやら隣を走っていた鵺君は、今日はメットをしていない。
でも子供は子供だから仕方ないって。まぁ零もよふかしは普通にするから、言ってもあまり意味ないとは知ってるけれど。でもやっぱり年上としては子供に忠告するのは義務なもので。
っていうか何より背が伸びた鵺君を個人的にすごく見てみたいわけでして。
「よし」
「あ?」
「鵺君、お家はどっち? 子守唄歌ってあげるから寝よう。むしろ私に寝顔を見せて下さい」
絶対可愛いに決まってる。拳を握ってそう主張したら、鵺君はぽかんと目を瞬いた後で見事に真っ赤になった。うわ、可愛い。
「ふっ・・・ふざけんな!」
「いたって真面目です。っていうか鵺君のご両親も、息子がこんな夜中に出歩いて心配してない? 出かけに一言言ってきてる?」
そういやシムカちゃんも高校生っぽいし、大丈夫なのか? 昨今の教育指導は。海人さん、むしろ非行少年を捕まえましょうよ。
「まぁこんな怪しい女がついてきたら、それこそ親御さんは心配するよねぇ。鵺君、一人でもちゃんと眠れる? 私がいなくてもちゃんと寝る?」
「・・・・・・おまえ、何でそんなに俺を寝させたいんだよ」
「だって成長した鵺君はきっと美青年になるだろうから、それが楽しみで」
素直に目的を吐露してみたら、鵺君はどうやら呆れたらしい。レガリアらしいエア・トレックを止めて溜息を吐き出す。
私の手首を掴んだ手は、やっぱりまだ小さい。でも骨ばってるし、やっぱり男の子なんだなぁ。
「・・・・・・おまえが一緒に寝るなら、俺も寝てやるよ」
「いやでもさすがに息子がいきなり知らない女と同衾してたら、親御さんのショックは計り知れないって」
「親は今日はいない」
「んー・・・じゃあお邪魔しましょうか」
そう答えると同時に引っ張られる。力はそこそこに強いね。うん、やっぱり鵺君、将来は立派な美青年になるよ。私が言うんだから間違いない。
おとなしくついていく私を振り返って、鵺君が顔を歪めた。
「・・・・・・くそっ! ガキじゃねぇってことを証明してやる・・・!」
何だか面白い言葉が聞こえてきたけど、鵺君の美少年さは並大抵のことじゃ変わらない。
とりあえず今晩は、どこまで大人の顔を覗かせられるのか、とくと拝見させてもらいましょう。
無理だ。笛ポタ主人公は逆ハーレムを築きつつ、本質は総攻めだと思う。
2006年8月19日