「パーツ・ウォウとやらに参加するためには」

1:五人以上のエア・トレックチームを作り、参加資格を得よう!
2:パーツ・ウォウのサイトでチーム登録をしよう!
3:ホームページの【ENTRY】をクリックして、対戦相手を決めて申し込もう!
4:申し込みをした相手チームが了承してくれれば、バトルが成立する。成立した場合には、ホームページ上の【BATTLE NEWS】に対戦チーム名、日時、場所を記した告知が流れるので必ずチェックしよう!
5:バトルは時間、場所以外にも相手チームのランクによるバトル方式に従うこととなる!
6:エリアに行ったら、相手チームのステッカーに自分のチームのステッカーを上張りしよう。それがバトル開始の合図だ!

「・・・・・・加えて縄張りことエリア、それを他のチームに示すステッカー、バトルの時に着るチーム・ウェア、チームそのものを現すエンブレム、更にメモリー・スティックやメットに旗にプロテクターなんかも必要になってくる、と」

つまりエア・トレックとはめちゃくちゃ金のかかる代物だってことだね?





04.魔女っ子、チームを設立する





「シムカの誘い、断ってしまったんだね」
足慣らしに滑ってると、いつの間にかスピさんが横にいた。今日も素敵なファーつきコート。
「残念だな。僕も君と一緒に走ってみたかったのに」
「走るだけなら何時だって出来ますよ。それに私みたいな素人は、やっぱり最下層から出発するのが基本かと思いまして」
「君の実力はもうとっくにBクラスだと思うよ?」
「だからこそ下から上がってくのが楽しいんじゃないですか」
にこって笑ったら、スピさんは苦笑した。うん、今日も不破印のエア・トレックは絶好調。
「お待たせしました。いつでもオッケーです」
キュッと足を止めて、頭を下げた。何事も礼儀正しくが基本だからね。

というわけでチーム『スリザリン』、本日パーツ・ウォウデビューです。



デビュー戦の対戦相手は、私と同じくつい先日パーツ・ウォウにデビューしたばっかりの人。チーム名は『デストロイ』。名前が基本でちょっと笑ったら失礼かなぁ。
登録したらすぐにバトルの申し込みをされたので、とりあえず受けてみた。賭けるのは部品だけど、これは不破印の特注品だしね。負けるわけにはいかないや。
「勝負方法は、パーツ・ウォウFクラスの『ダッシュ』。そっちはあんたしかいないようだから、1対1の一本勝負にするか?」
リーダーさんらしい男の人が聞いてくる。いい人だなぁ。っていうかスピさん、何楽しそうにビデオセットしてるんですか。でもって何時来たの、鵺君?
「はい、出来れば一本勝負でお願いします」
「いいけど、他の仲間はどうしたんだ? 五人じゃないと登録できないだろ?」
「そうなんですけどねぇ・・・・・・」
ちょっと遠い目をしてみたら、リーダーさんは何を察したのか「気にしないでいい」と言ってくれた。本当にいい人だ。
「この校舎のフェンスの上を一周して、早かった方が勝ち」
「はい。質問いいですか?」
「ん?」
「相手の妨害をするのはありですか?」
めっちゃオフェンシブな質問で申し訳ない。っていうか相手を妨害すること前提だしね。
案の定リーダーさんはちょっと眉を顰めて、でも質問に答えてくれた。
「妨害はありだ。相手をフェンスから落としても勝ちだしな」
「分かりました。ありがとうございます」
「じゃ、三分後にスタートで」
もう一度頭を下げると、慣れ親しんだ気配が現れたのに気づいた。特等席の屋上で、シムカちゃんが息を切らしてる。
「よかった、間に合った! ちゃん、頑張ってねー!」
もちろん美少女の期待には応えるのがモットーですから。
全力でやらせてもらいましょう。



チーム『スリザリン』。
構成員は私とクロト、シャニとオルガとステラ。とりあえず近くにいたのを登録してみたので、実際に動いてるのは私一人なんだけど。
あぁでもクロトは自分用のエア・トレックを不破に作ってもらってたっけ。楽しそうに練習もしてたから、そのうち一緒にバトル参加できるかも。
エリアは今のところなし。ステッカーとエンブレムは考えるのが面倒だったのでそこらへんにあるのを代用しようと掴んだら、スリザリンの寮章だったのがものすごく受けたのでチーム名にもそのまま使ってみた。チーム・ウェアは全身黒なら何でもオッケー。特別な洋服を作る手間隙も惜しいので。
メモリースティックはちゃんと挿してあるし、準備万全。

「レディー・・・・・・!」
放られたコインが地面に近づく。
僅かな音がした瞬間、走り出した。前が不利だなんて知ってるけど知らないよ。だって逃げ切っちゃったから。
勝負は一瞬、『スリザリン』は見事初陣を飾った。



てっとり早くレベルを上げるには、とりあえずクラスが上のチームに挑戦していけばいいのかな?
何事もやるからにはトップを目指す。その精神を忘れずに。
とりあえずしばらくはエア・トレックをやってみようかと思う。





主役たちに絡まないなぁ・・・。
2006年5月22日