09:Chu☆サマー・パーティー





一時間目の授業は魔法史です。一番最初にフクロウ便で接触してきた副校長の榊孝一先生の授業です。
ハッフルパフと合同ってことは、麻衣子がどっかにいるって訳で。
あ、いたー。手を振ってみれば麻衣子は気づいて振り返してくれるし。
でも麻衣子と同じ机に座っている男子生徒まで手を振り返してきてくれたのは何故?
ま、友達百人作成計画の一端ということで。
榊先生の入場でーす。




分かりやすく簡潔に述べれば、魔法史は魔法の歴史について学ぶ授業だった。
人間界・・・・・・マグルの世界で言う日本史、世界史っていうとこかな。
あー、マグルって言い方慣れないわー。私自身普通の人間のつもりだし。マグルって語源はどこから来てるのさ。
それにしても教壇に立って授業を進めている榊先生。ダンディーでカッコイイ。
話し上手だし包容力もありそうだし、やっぱり榊先生ならオッケーかも。年も思った以上に離れてないみたいだし。
って駄目じゃん、私。目指すは高級官僚なんだから、目先のいい男に惹かれてちゃまだまだだね。(王子風に)
にしても眠そうな子が多いなー。
あそこに座ってるハッフルパフの男の子なんか完全に寝ちゃってるし。あ、その隣の長髪の男の子もだ。
隣に座ってる物静かそうな男の子が最初は起こそうとしてたけど今は諦めちゃったみたいで放置中。
私たちレイブンクローの生徒では眠ってる子はいないな。六助がちょっとヤバそうだけど。
確かに歴史の授業なんて退屈かもしれないけど、私にとっては全部初めてのことだからすごく面白い。
榊先生は話し上手だし、歴史の中にも珍しいエピソードとかを織り交ぜながら授業を進めてくれてる。
うん、この授業は当たりだ。
あー、あそこのハッフルパフの男の子も眠っちゃいそう。黒髪サラサラにカチューシャしてる子。
隣の茶髪の男の子に肘で突っつかれて・・・あ、目が合った。
眠そうだったのにパッチリ目を開いて驚いたような顔をしてるから、少し笑って見せた。
そしたら更に驚いたみたいで二・三回左右を見渡した後で彼も笑ってくれた。あ、ちょっとカッコイイ。
隣の男の子もそんな彼の動作に気づいたらしく、私のほうを見て小さく手を振ってくれた。こっちの子は可愛いって感じかな。
あはは、この勢いなら友達ももっとたくさん出来そうかも。あとで名前教えてもらおうっと。



・・・なんて思ってたんだけど、授業の間の休み時間は十分しかなくて、授業が終わり次第速やかに移動ということになってしまった。
あーさっきの子たちに名前教えてもらいたかったのに。
まぁでも仕方ない。次は薬草学の授業だからさっさとお城の裏手にある温室に行かなきゃ。
にしても何で・・・・・・。
「何で階段が動いたりドアがお願いしないと開かなかったり壁に見えるところに近道があったりするんでしょうかねぇ?」
「それがこの世界だって」
光宏がさも当然のように言うし。
「いや、私がいた世界では全然普通じゃないから。それに写真に写ってる人が動くってどういうことよ? あの写真に何か細工でもしてあるの?」
「してないしてない。じゃあマグルの写真は動かないんだ?」
「動かないよー。私、昨日の夜に一人で教科書見てそれを知ったとき、思わず叫んじゃったもん」
「あはは。聞きたかったなぁ、そのときのちゃんの悲鳴」
「いや、聞いても楽しくないから」
なら絶対楽しいって」
光宏が合いの手を入れて、柾輝や六助、仁吉に健太郎まで笑い出すし。いや、マジで聞いても面白くないと思うんですけど。
「次の授業は確かスリザリンと合同だったっけ?」
お城から出たところで仁吉が言う。柾輝がそれに頷いて、
「スリザリンの今年の一年って三人だけらしいぜ。二年が六人いるから合計では九人みたいだけどな」
「確か郭家の長男がいるって聞いたけど・・・」
・・・・・・健太郎、郭家って何ですか?
「それに真田と若菜のヤツもいるって。じゃあその三人がスリザリンか」
六助が頷いてるのはいいんですけど、さっぱり意味が分かんないです。やっぱり魔法界についてもっと勉強するべきだなー。
今度図書館にでも行ってみよう。
、郭家っていうのは魔法界の中でも有名な一族の一つだよ。李家とも繋がりがあるらしいけど」
光宏が謎解きをしてくれる。小さくなっても頭脳は大人、迷宮無しの名探偵。
「真田家と若菜家も同じくらい有名なんだ。それぞれの家の息子が同い年で、三人ともすごく仲がいいらしいよ」
多紀は必ず犯人を暴いて見せる。じっちゃんの名にかけて。
「有名ってどういうことで有名なの?」
私が聞いたらみんなきょとんとした後で口々に話し始める。
「やっぱ魔法力の高さなんじゃないの?」
「僕は権力の強さだとおもうけど」
「偉大な魔法使いが出てるとか・・・」
「資産の大きさじゃねぇの?」
「そういえば郭家は美人が多いってよく聞くよな」
「それなら真田家や若菜家もすごい人気あるし」
・・・・・・・・・・・・とりあえず本人たちを見てから判断を下すしかない、と。
すごいかどうかは私が決めることだし、今は保留にしておきましょう。



薬草学の先生はマルコ・フェルナンド・ルイス先生。外国人の先生なんだけど、すごく優しそうな人。
温かみがあるっていうか、話し方や気の使い方とか見てて人間として出来た人だなぁって思ってしまった。
授業は紫色した怪しさ満載のきのこの育て方や、これは本当に草なのかむしろ岩なんじゃないかって感じの植物の使用方法について習った。
ふふふ・・・・・・魔法界はこんな植物がウヨウヨと生えているんかい。
恐ろしい世界だな。殺人兵器がそこらへんに転がってるのと一緒だぞ。それと同じくらい救出用の命綱もありそうだけど。
それより、さっきの話題に出たスリザリン三人組み。
実は見たことありました。昨日橋の上で一番最初に見かけた三人組がそれでした。
さっき多紀に教えてもらったのによると、明るい茶髪が若菜結人くん。黒髪細目が郭英士くん。黒髪つり目が真田一馬くん。
纏ってる雰囲気が三者三様。お得なお買い得パックみたい。
なーんて観察してたら、アスフォデルとかいう植物の鉢植えをすることになってしまった。
しかも二人一組。これが女の子が一緒だったら迷わず組むんだけど・・・。
そう思ってたら後ろから肩を叩かれた。振り返れば明るい茶髪。
「な、俺と一緒に組まない?」
「・・・・・・いいよー」
断る理由がないので頷いてみた。どんな性格してるのかも気になるし。
笑った茶髪君はカッコカワイかった。マグル(いまだ慣れない呼び方だけど)でいうところのジャニーズ系?
二つ三つ年上のお姉さんに可愛がられるタイプとみた。そして本人もそれを分かってる。
うーん・・・友達なら全然オッケー。敵に回すとほんの少し面倒かも。
この世界に来てから敵に回したくない人ばっかりだなー。それはつまり手強い人が多いってことで。
楽しいけどね、その方が。
「俺は若菜結人。結人って呼んで」
「私は。苗字でも名前でも好きに呼んでいいよ」
「じゃあって呼ぶ」
鉢植えをしながら自己紹介をしたりして。
「あのさー、ってマグル出身?」
「・・・そうだけど。魔法界について知ったのもつい最近なんだ」
「へぇ? そうなんだ。ふーん・・・マグルかぁ・・・・・・」
――――――――――――ハァ。
やっぱりどこに行っても身分差別人種差別はあるものみたいね。別にどうでもいいけど。気にしてやるほど暇でもないし。
「ま、いっか。いまどき魔法使い至上主義なんて流行らないしな」
お、中々柔らかい思考の持ち主みたい。ニパッと笑った顔に優越感は浮かんでないし。
「わかんないこととかあったら何時でも聞いてよ。何でも答えちゃうからさ!」
「うん。ありがと、結人」
アスフォデルも無事に植え終わって、薬草学の授業もそつなく終わった。
帰り際には結人が「またな!」って手を振ってくれて。
他の寮の友達(女子は除く)初めてゲットだぜ!





2002年7月30日