セピア





ランキング戦が終わった。
決まったのは新しいレギュラー8人。
俺は落ちてしまったけれど、まだまだ諦めるつもりはないからね。
精々データを取らせてもらうよ。
そして今、部活で一番問題になっているのは―――・・・・・・。
、彼に関してのこと。



「だーかーらー! にゃんで不二はと試合しなかったんだよっ! 俺、すっごい楽しみにしてたのに! が全力出すとこが見たかったのにっ!」
「・・・・・・仕方ないでしょ、英二。言っておくけど僕だってとゲームしたかったんだからね? それでもはケガをしてたんだから・・・・・・・・・あれが、一番よかったんだよ」
ふむ。不二の表情からして今の台詞は95%の確率で本音というところか。
「第一手塚っ! にゃんで俺とを同じブロックにしてくんなかったんだよ!」
菊丸、標的を手塚に変える、と。
手塚、眉間のシワが3割増加。
「・・・・・・の実力を見る上であの組み合わせが最適だったからだ。と不二の試合に関してはあの処置が当然だろう」
「・・・・・・・・・やっぱり僕、あいつらをやってくるよ」
「あ、待って不二! 俺も行くっ」
「ちょっ・・・・・・待てっ不二も英二も! それだけは止めてくれ!」
立ち上がって部室を出て行こうとした不二と菊丸を大石が必死で止めている。手塚はため息をついてるし。
まぁ、を襲った生徒に対してはすでに釘をさしてあるし、これ以上の手出しは逆に訴えられるかもしれないな。
ふーむ、それにしても・・・・・・・・・か。
他人と一線を引いてつき合う不二や、意外と人見知りをする菊丸のこの執着ぶり。
観察してみる価値はありそうだね。
「タカさんはと試合をしているけれど、どうだった?」
俺が尋ねるとタカさんは少し驚いた後で困ったように眉を下げた。
「うん、でも俺と試合をしたときには君はもうケガしてたし・・・・・・」
「その前の試合は見た?」
「うん、見たよ。君は全然本気なんて出してなかったけど」
まぁ情報が少ない今、とりあえずメモしておくか。
「コントロールがね、すごくよかったよ。サーブなんか一度もミスしなかったし。どのショットもラインから20センチ以内のところに決まってたんじゃないかな? 足も速かったし・・・欠点らしい欠点はなかったと思うよ」
「・・・・・・・・・ライン20センチ以内?」
それは―――――――・・・・・・うん、やっぱり本格的にデータを集めることにしよう。
1球2球ならともかく、全てのショットをライン20センチ以内に打つだなんて不可能に近い。
手首のスナップ一つですぐに狂うし、何より途切れることのない集中力が必要だ。
それをやってのけるとは・・・・・・・・・。
「たぶん本気になったら、どのボールもライン上を狙えると思うよ」
「・・・・・・とんでもない一年だな」
「越前といい君といい今年の一年は本当にすごいね」
全くだ。越前に加えても要チェックだな。
今度プロフィールを聞きにいくとするか。はともかく越前が素直に答ええるとは思えないけどね。
不二と菊丸は仕返しに行くのを止めたらしく、今は大人しくベンチに座っている。
・・・・・・・・・そのわりに空気が重いな。
「・・・・・・・・・・どうしよう・・・・・・僕、に嫌われちゃったかもしれない・・・・・・」
不二か、この暗闇の原因は。
それにしてもずいぶんな落ち込みようだな。
はあんなにテニスしたがってたのに・・・・・・・・・」
「あ、いやでも、不二のしたことは正しかったと思うぞ。ケガをしているにあれ以上プレーさせるなんて俺も嫌だったし」
大石がフォローに入る。その後ろからは菊丸も援護射撃を行って。
「そーだよっ不二、大丈夫だって! もきっと判ってくれてるって!」
「・・・・・・・・・うん」
ふむ。不二はに関してはずいぶん弱気、と。
まぁそれだけのことを気に入っているということか。
ますます観察してみたくなってきたよ。



越前とが部室に来るまで後5分。
その間にの行動でもシミュレートしてみることにしようかな。





2002年12月13日