セピア
中学校に入学してから、早くも半月が経ちました。
学校にもどうにか慣れて、楽しい毎日を送っています。
授業はもういつもどおりに開始されていて、次の時間は体育なんだけど・・・・・・。
何だかみんなスゴイ。
鏡を覗き込んだり、髪を結いなおしたりと忙しそう。
でもそれも仕方ないのかも。だって・・・・・・。
「桜乃ー、早く行こう! リョーマ様と様を見るんだから!」
「と、朋ちゃん・・・・・・」
そう、そうなんです。
私たち一組は体育のときだけ隣の二組と一緒なの。
二組には今や学校中の有名人、越前リョーマ君と君がいるわけで・・・。
気合が入るのも仕方ないのかなぁ・・・。
今日の体育は体力測定の一つで持久走。
やだなぁ・・・私走るの遅いんだもん・・・・・・。
そう思いながらも必死で走り終わって校庭に座り込んでいると、次は男子が走るみたいで。
ピーッて笛が響いてみんな一斉にスタートする。
「キャーッ! リョーマ様! 様! 頑張ってーッ!!」
と、朋ちゃん・・・・・・・・・。
見渡せばほとんどの女子が二人の応援をしている。
でも当の二人はトップ集団から少し後ろをのんびりと走っていて。
のんびり走ってあの速さなんてズルイよー。
リョーマ君と君は、今学校中からものすごく注目を浴びている。
だってそれもそのはず。
二人はテニス部のランキング戦に一年生ながらも参加が決まったのだから。
・・・すごいなぁ、二人とも。
テニスも上手でカッコイイなんて本当に羨ましい。
私はリョーマ君と入学前に一度会ってるんだけど、リョーマ君は覚えてくれてないみたいだし・・・・・・。
うん、でもまだまだこれからだよ!
これから頑張ってもっと二人と仲良くなればいいんだから!!
男子は1500mなんだけど、校庭三周目を過ぎたころにはリョーマ君と君は集団の先頭に立っていた。
しかも後ろの人たちをどんどん突き放していく。
それでも二人は苦しそうな顔なんて全然してなくて。
すごい。本当にすごいよ。
そんなことを思っていたら。
「越前くーん! くーん! 頑張ってーッ!!」
「キャーッ! 二人とも可愛いーッ!!」
なっ、何!?
慌てて声のした方を振り向くと、そっちは校舎で。
女の先輩方が窓に身を乗り出してこっちに手を振っている。
あれは二年生・・・? 今は授業中のはずじゃあ・・・・・・?
「コラーッお前たち! 真面目に授業を受けなさい!!」
やっぱり先生に怒られてる。
先輩たちは名残惜しそうに見ていたけれど、キャアッと声を上げてもう一度こっちに手を振ってきた。
振り向けばそこにはヒラヒラと走りながら手を振っている君の姿。
リョーマ君はチラッと窓の方を見ただけだったけど。
・・・・・・・・・本当にすごすぎるよ、二人とも。
私から見るとリョーマ君と君は何でも出来るすごい人に見えて。
ひょっとしたら男テニでもレギュラーを取れるかもしれないって思った。
期待しちゃダメかな?
・・・・・・してもいいよね?
トップでゴールした二人を私は憧れの眼差しで見つめていた。
2002年9月18日