サード・インパクト・フォー・ヒム





それは、あたかも彼一人にだけサード・インパクトが訪れたようだったと、後にシン・アスカは語った。



「・・・・・・っ!」
拳を壁に押し付けて項垂れているのは、シンの同僚であり友人でもあるレイ・ザ・バレルだ。
金髪で青い瞳を持ついわゆる美形の彼が、今は悲嘆の海に溺れている。
この光景は、きっと女性が見たら黄色い声を上げるに相応しいものだろう。それだけレイの容姿は優れていたし、どんなシーンでも美しく演じるだけの雰囲気があった。
だがそれも、見ているだけの話。実際に近寄ってみたら恐ろしいと感じるに違いない。
そう、このぶつぶつと繰り返される呟きを耳にしてしまえば最後。
「・・・・・・・・・何故だ・・・何故、何故、何故奴なんだ・・・・・・っ! 優秀なのは認める、シンクロ率が高いのも認める、だが、何故それだけの理由で奴が・・・っ! 奴が、奴が奴が奴が・・・・・・さんの、相棒なんかに・・・っ! 零隊ということなら、俺だって同じなのに! 手を加えられた紛い物ってことも一緒なのに・・・! ならば相性か!? 相性の問題なのかっ!?」
ちなみに手を加えられているのはレイとと渚カヲルだけでなく、キラ・ヤマトも綾波レイもそうだ。
だからきっと相性の問題なら、とカヲルはともかく、とレイは良くないだろう。
もちろん口に出すような愚をシンは冒さないけれども。
「俺がもっと優秀だったら良いのか!? それならさんの相棒になれるのか!? さんと四号機に・・・っ・・・さんの隣に、さんと複座に・・・っ!」
怒りがいつの間にか恍惚に摩り替わっている。助けて、ルナ。思わずそう呟きかけてシンは思い出した。
そういえば同僚の中でも自分たちと仲の良い彼女は、今は同じ弐隊の惣流・アスカ・ラングレーと対決に明け暮れているとか。
あの二人も何だかなぁ、と思うシンは壱隊に所属している。碇シンジやキラ・ヤマト、アスラン・ザラと同じ、ちょっと不服な壱隊である。救いはステラと同じことくらいか。
「待ってて下さい、さん! すぐに、すぐにダブリスなんか叩きのめしてやりますからねっ!」
ダッシュで訓練室に向かっていくレイを見送りながら、さんって大モテだなぁ、とシンはとても違うことを思った。



――――――同じ頃。
「俺と複座に乗ってくれないか」
「・・・・・・ええ、いいわよ」
&綾波レイの同類タッグが結成されようとしていた。





コメントにてその後が気になると仰って下さった皆様、こんな感じの暴走レイバレですが、如何でしょう・・・?
2006年4月6日