選ばれし子供たち
量産されたエヴァンゲリオンは、基本的に零号機・初号機・弐号機を元に作られた。
故に搭乗するパイロットも、各機それぞれのパイロットに近しい性質を持つものが選ばれる。
零号機には綾波レイに似たパイロットが、初号機には碇シンジ、弐号機には惣流・アスカ・ラングレーに似たパイロットがそれぞれ選ばれるのだ。
精神検定を何度も受け、最終的には面接を行った人の意見によって割り振られる。
それを行うのがネルフ特務機関の葛城ミサト三佐、赤木リツコ開発責任者の今回の仕事だった。
「・君。この子は間違いなく零号機ね」
「そうね、レイに似て過去の経歴はほぼ抹消。ほとんど感情を表さないし、ラウ・ル・クルーゼというただ一人にだけ心を開いているところもレイにそっくりだわ」
「にしてもこの能力値、とんでもないじゃない。レイやアスカ、もしかしたらシンジ君より上かもしれないわよ。安定してるのが何よりも強みね」
「イザーク・ジュールは弐号機、ディアッカ・エルスマンも同じでいいわね」
「キラ・ヤマト君とアスラン・ザラ君は初号機で決定でしょ。ニコル・アマルフィ君はどうする? 検定結果だと零号機と弐号機、どっちでもイケそうだけど」
「バランスを見たいから、とりあえず零号機に回すわ。後で変更も可能でしょう?」
「まぁね。オルガ・サブナック君は? 薬が抜けた彼は結構穏やかみたいだけど。クロト・ブエル君とかシャニ・アンドラス君とか、まったくどの子も優秀で作戦課長としては嬉しい限りだわー」
「ふふ、これで扱いやすければ言うことないけれど。オルガ・サブナックは零号機、クロト・ブエルは弐号機、シャニ・アンドラスは初号機で様子を見ましょう」
「シン・アスカ君は初号機ね。初号機パイロットは一度どこかに閉じ込めて合宿でもやらせた方がいいんじゃないの? 人付き合いの訓練をさせる必要があるわよ、絶対」
「それならキラ・ヤマトとアスラン・ザラは分けなくちゃいけないわね。彼らは幼馴染のようだから」
「ルナマリア・ホーク、彼女は弐号機でしょ? でもってレイ・ザ・バレル君は零号機」
「あら、レイと同じ名前ね。この子は・に憧れてるらしいわよ。どうやら片思いのようだけれど」
「へーぇ、じゃあますます同じ零号機にしてあげなくちゃ。アウル・ニーダ君は弐号機でしょ? ステラ・ルーシェは初号機、最後のスティング・オークレー君は?」
「彼は零号機。トータルで見ると零号機が五人、初号機が五人、弐号機が五人で丁度良いわね」
「他にもカガリ・ユラ・アスハやラクス・クライン、フレイ・アルスターやメイリン・ホーク、ミーア・キャンベルなんかも候補に挙がってるみたいだけど」
「彼女たちは全体的にパイロット訓練が足りないわ。もう少し経験を積ませてからの方がいいでしょう」
「了解。じゃあこれで碇司令に提出しとくわ。あーぁ、肩凝った!」
「まだ遅くないし、これから飲みにでも行く?」
「珍しいじゃない、リツコから誘ってくるの。じゃあせっかくだし新パイロットの子達でも呼び出してお酌させちゃう?」
「ミサトの泥酔姿に呆れてネルフを辞められたら困るでしょう? 今日は大人しくシンジ君にでも注がせましょう」
「じゃあアスカとレイも呼び出しね。今度の顔合わせのこと伝えとかなくちゃ」
「アスカはきっと、新パイロットの子達と上手くいかないでしょうね。特に・とは激しくぶつかりそうだわ」
「プライド高いからねー。でも案外そこから恋愛に発展したりするかもよ?」
「賭ける?」
「YEBICHUのビール一本!」
「安い恋ね」
こうして取り決めはなされ、新パイロットたちの搭乗する機体は決定した。
それらの判断が正しかったのかどうかは、数日後に明らかとなる。
渚カヲルと主人公の間に友情は成り立つか否か。
2006年3月14日