07:じゃあ赤ちゃん作りに励もうか
デュランダルの「実は迷惑してるんじゃないか」疑惑の指摘。
それを真に受けたレイの逃亡、捕獲、号泣、謝罪。
その日からこっち。
レイはのことを、「父上」と呼ぶようになった。
「もうすっかり親子ね」
ソファーではなく足の届かないカウンター席に座っているレイと、相変わらず綺麗で無表情な顔をしてビーフシチューランチを運んでくるを見比べ、フレイは楽しそうに笑った。
「最初はどうなるのかと思ってたけど、結局うまくいったみたいだし。良かったわね、レイ」
「はいっ!」
「お父さんのこと、好き?」
「だいすきですっ!」
「そう。でも私ものことが大好きなの。だから私とレイはライバルね」
「・・・・・・・・・フレイ」
にっこりと笑顔のまま、大人気なく五歳児にライバル宣言をする彼女に、は溜息を吐き出す。
けれどそんな彼にも笑顔で微笑んで、フレイはいただきます、とスプーンを持った。
「でもね、。義理の息子でもこんなに可愛いんだから、きっと血の繋がった子はもっと可愛いと思うの」
「だからどうした」
「作ってみない? 実の子供」
きょとん、とレイが瞳を瞬く。
「おまえとか?」
「もちろん! 他の女には譲れないわ」
「そうだな。レイが成人したら、考えてやってもいい」
予想外の言葉に、聞いたフレイの方が驚いた。
はといえばカウンターの中で静かにコーヒーを飲んでいて。
「・・・・・・え?」
言葉をしっかりと噛み締めて、自分の顔が赤くなるのをフレイは感じる。
「や、約束だからねっ!?」
「あぁ。レイが成人したら、考えてやる」
嬉しそうに喜ぶフレイと、相変わらず冷静な。
二人を眺めながらレイはやっぱり首を傾げるのだった。
年中閉店している路地裏のカフェには、不思議な父子が住んでいる。
2006年1月22日