07:Destroy the future!
「シャニのおかげで散々だぜ」
帰ってきた面々を出迎え、オルガは呆れた顔を隠さずに述べる。
「、議長から通信があった。折り返し連絡くれってよ」
「どうせ催促じゃないの? シャニなんかに構ってないでさっさと行けってさ」
「クロト、うざーい・・・・・・」
「シャニがバカなのが悪いんだろ」
戦艦のブリッジとは思えない子供の会話が交わされる。
一度席に着いたは、少し考え込むような仕草をした後に立ち上がった。
無重力の空間で、隊服の裾がひらりとはためく。先ほど会った女性艦長も白い隊服だったけれど、の方が全然綺麗、とフレイは見惚れるような眼差しで眺めた。
「通信してくる。フレイ、ここは任せた」
「判ったわ。元の任務航程に戻せばいいんでしょう?」
「あぁ。オルガはクロトと一緒にシャニにコードを覚えさせろ」
「・・・・・・マジかよ」
うんざりとした表情をしたオルガは、きっとシャニの物覚えの悪さを知っているのだろう。
がちらりと眼差しだけ寄越せば、彼は仕方なさそうに肩を竦めた。
お勉強会が始まりにわかに騒がしくなったブリッジを出る。ひんやりとした廊下で器用にバランスを取り、は自室へと向かった。
「大変なご迷惑をおかけし、申し訳ありません。当隊は無事に任務に復帰し、現在はジブラルタル基地へ向けて進行中です。遅れは30分以内に留められる予定です」
画面に向かい、は深々と頭を下げた。
けれど相手はどこか楽しそうに笑っている。その様がは少しだけ苦手で、内心で表情を歪めた。
『いや、全クルーが揃ったようで何よりだよ。遅れることは気にしなくていい。それより、ミネルバはどうだったかね?』
「ザフトレッドの育成にもう少し力を注がれては如何でしょうか。あれでは戦場を生き抜けるとは思えません」
『手厳しいね。だが連合を倒すのならば、あの程度でも十分だろう?』
「それはオルガたちに対する侮辱ですか?」
『いや・・・・・・言葉が不味かったな。すまない、そういうつもりではないよ』
困ったようにデュランダルが微笑む。
『私は彼らの力を評価しているし、期待もしている。でなければ君にアドボロスを与えないし、彼らの存在も許しはしない』
「判っております。自分こそ言葉が過ぎました。どうかお許し下さい」
『ミネルバには連合の相手をしてもらう。その間に君たちは・・・・・・頼むよ』
「はい、お任せ下さい」
背筋を伸ばし、片手を挙げる。ザフトに相応しいポーズで敬礼する。
「議長のご期待に応えるべく、必ずやフリーダム及びアークエンジェル、ならびにオーブを殲滅させてご覧にいれます」
の言葉に、デュランダルは満足そうに笑った。
漆黒の戦艦アドボロスは、静かにその鎌を振りかざそうとしている。
2006年1月14日