優雅なクラシックの音楽が、最高評議会議会所に本日の始業を告げた。





Happy Halloween!





AM9:03
自動ドアを抜け、レイ・ザ・バレルは議会所に足を踏み入れた。
ミネルバが帰艦している現在、彼らパイロットの任務は要人の護衛だったり要所の警備だったりと様々である。
その中で本日レイに割り振られた仕事は、プラント最高評議会議長であるギルバート・デュランダルの護衛だった。
彼がレイの義父にあたることを、きっとタリアが考慮してくれたのだろう。互いの仕事柄あまり多く一緒にいられないため、今回の任務をレイは素直に喜んでいた。
10時から会議のため出かけるというデュランダルに合わせて議会所を訪れたのだが、一歩フロアに入り、レイはきょとんと目を瞬いた。

中央の広い階段の前に、オレンジ色のジャック・オ・ランタンがいたのだ。

すらりとした姿態をアンティークな衣装で包み、顔の描かれた大きなカボチャを被っている。
それが議会所にいるのはまったくもって可笑しいはずの光景なのに、何故か通り行く議員や人々はみな、好意的な笑みを浮かべている。
きっとイベントか何かだと思っているのだろう。レイもそう思い、カボチャ怪人へと歩み寄った。
約一メートルの距離で、敬礼する。

「お疲れ様です。クルーゼ秘書官」

次の瞬間、レイはジャック・オ・ランタンの頭突きを食らった。



開始三分、任務終了。





→ イザークの場合
2005年10月28日