一方その頃、反対車線では。
Let's introduce my lady.
「ああああああああっ! 理事、理事っ! 車ストップ!」
「うわっ! 何だよアウル、うるせーな!」
「・・・・・・?」
「んー、どうしたんですか? アウル」
「今、今、あの人がいた! あの、シャニさんの写真の! すれ違ったエレカに乗ってた!」
「―――っ・・・マジかよ!?」
「マジだよ! だから車止めてよ、理事!」
「・・・・・・君が言っているのはミス・のことですか? 金髪蒼眼で儚い系美少女の?」
「「何で理事が知ってんだよっ!?」」
「・・・・・・?」
「失礼なこと言いますねぇ。だってシャニたちを彼女に会わせてあげたのは、他でもない僕ですよ? あぁ、でもなるほど・・・・・・ラウが言ってたのは今日だったんですか。そうと知っていれば予定を早めに切り上げて見に行ったのに・・・」
「・・・・・・理事?」
「で? もしかして好きになっちゃったんですか? 君たちは彼女を」
「「!」」
「・・・・・・?」
「・・・・・・・・・ふふ、ふふ、ふふふふふふ、いやいや君たちの気持ちも分かりますよ。美人ですからねぇ、彼女は。それでいて性格は穏やかで優しく、男の理想を実体化させたような女性ですし」
「「・・・・・・・・・」」
「会いたい? 会いたいですか? そうですねぇ、会わせてあげてもいいですよ?」
「「!!」」
「まぁ彼女の都合もありますから、すぐというわけにはいかないでしょうけれど。君たちが真面目に仕事に取り組めば取り組んだ分だけ、きっと会える日は早くなるんじゃないですか」
「・・・・・・ずりぃ」
「職権乱用しやがった・・・・・・」
「・・・・・・理事、ステラも・・・」
「ん? ステラもミス・に会いたいんですか? それともに?」
「・・・・・・」
「分かりました。三人ともそれまではちゃんといつも以上に仕事に励んで下さいね」
こうして、当事者の知らないところで苦労というのは作られていくのだった。
2005年7月7日