二日ぶりに帰った家は相変わらず彼の存在感を感じられた。



ドアを開けたら目の前に彼がいて。
「おかえり」
その言葉に涙が溢れた。



彼は何も言わずに抱きしめていてくれた。
涙に言葉を取られながらの俺の話を黙って聞いてくれて。
柔らかな笑顔は何よりも大事。



「おめでとう、」



また、涙が零れる。





葵は俺の唯一の人





その後はいつものように夕飯を作って。
葵と話をしながら食べた。
いつもより口数の多い自分に少し驚いて。
だけど葵が微笑むから止めることは出来なかった。



葵



葵が望むなら俺は何でもするよ。
たとえどんなことでも、誰に無理と言われても。
葵が望むことはすべて叶えたいから。
俺にそうしてくれたように。
俺も葵の力になりたい。



寝て覚めたら夢なんじゃないかと言ったら葵は声をあげて笑った。
そして「夢なんかじゃないよ」と。
「はちゃんと一歩踏み出したんだよ」
と。



泣いてばかりの自分。
今日だけはどうか許して。





サッカーがしたいんです。
許してください。





どうか
許してください。





次の日、目を覚ましたらケータイに着信が来ていた。
メールと電話と。
椎名、真田、若菜、郭、藤代、渋沢、三上、水野・・・・・・・・・。
選抜で知り合った奴ばかりから。
嬉しくて泣きそうになって。
慌てて目頭を押さえた。



自分はもう泣く必要はないのだから。



走り出すんだ
未来に向かって





precious symmetry





それは輝きを放つ永遠の時間
俺は決して忘れない





2002年8月27日