でも実際、彼らはどんなお付き合いをしているのでしょう。
World is not enough!(おまけ)
新色のマニキュアを器用に塗りながら、紅印はチームメイトを相手にお喋りしていた。
「だからねぇ、ちょっと剣ちゃん聞いてる?」
「びみょ〜に聞いてるよ。つまりが可愛すぎて手が出せないってことだよね〜?」
「そうなのよ。まったく困っちゃうわ」
ふう、と溜息を塗り上げた爪に吹きかけて、紅印は続ける。
「あれだけ純粋にアタシを慕ってくれてるんだもの。こう何か・・・・・・信頼を裏切るのはつらいのよね」
「へぇ〜中宮でもそんなこと思うんだ?」
「当たり前でしょ。アタシだって一人の恋する乙女だもの。悩みもすれば不安にもなるわ」
「でも大丈夫だと思うけどね〜。だってってびみょ〜に中宮命だし」
「そこで『びみょ〜』は口癖でもやめてちょうだい」
困ったように笑って、塗り終わった爪を眺める。
綺麗に染め上げられたそれらはキラキラと輝いていて紅印を十分に満足させる。
「放っておくとすぐに誰でも魅了しちゃうし。これでも結構心配してるのよ? いつか誰かにペロリと横取りされちゃうんじゃないかって」
「だったら今すぐにでも頂いちゃえば〜?」
「だからそれは出来ないのよ。に泣かれちゃったりしたら、きっとアタシ罪悪感でエラーばっかりしちゃうわ」
「それはびみょ〜に困るなぁ。っていうか中宮も悪いんじゃないの? 中宮が『誰それがカッコイイ』って言う度に、はそいつに会いに行くんだからさ〜」
「フフ、判ってないわねぇ、剣ちゃん」
紫のルージュを引いた唇で含むように笑う。
恍惚の表情を浮かべて、紅印はうっとりと漏らした。
「嫉妬されるからこそ、愛されてるって実感するのよ。――――――可愛い独占欲だと思わない?」
思わないな〜、と剣菱は口に仕掛けたが、とりあえず黙っておいた。
っていうかこの二人は恋人同士なのかびみょ〜だよね、なんて基本的なことを考えながら。
その頃、件のはというと寮の自室で霧咲雀を相手に作戦を練っていた。
「だから雀さん、聞いてる?」
「応。来週、華武」
「そ。今週はもう紅印さんが目ぇ光らしてるだろうから、来週行って『御柳芭唐』を見てくる」
ボールペンで手帳にスケジュールを書き込んで、は続ける。
「あんな風に言ってもらったけど、でもやっぱ・・・・・・気になるし」
「華武、危険。中宮、憤怒」
「大丈夫だって、ちょっと顔見てくるだけ。今回の犬飼だって紅印さんたちが通りかからなきゃ多分無事に終わってただろうし」
「御柳、有名」
「何が?」
「・・・・・・・・・」
「?」
黙りこくってしまった霧咲を前にして、は首を傾げる。
しばらくの間迷っていたが、結局霧咲は言うことにした。彼はの美貌がとてもとても好きなのだ。だからこそ言っておかねば。
「・・・・・・両刀」
「は?」
「御柳、両刀。、危険」
ぽかんとした顔をしていたが、意味が飲み込めたのかは頬を赤くし、ついで青褪めさせる。
芸術品のような指先を唇に押し当てて何かを考え込み、そして決意したような面持ちで勢いよく顔を上げた。
「じゃあなおさら行かなきゃじゃん! 両刀じゃ紅印さんとバッチリ合うし、やだよ俺、紅印さん取られんの!」
違う、取られるのはおまえ。霧咲はそう口に仕掛けたが、とりあえず黙っておいた。
来週の華武ツアーのときは自分も一緒についていこう、と心に決めて手帳に予定を書き込みながら。
王桃食は、こてんと首を傾げる。
「日本人のレンアイ、摩訶不思議あるネ。朕にはわからないヨー」
判らない方がいいでしょう。
とりあえず微妙に清くて可笑しな関係を、二人は続けているのだった。
2004年11月21日