どうして
どうしてこんなに嫌いなんだろう
俺たちは同じ魂を分けて生まれてきたはずなのに
the principles of Yin and Yang
パラリと雑誌をめくる音
ページをつまむ細い指先
日焼けしにくい性質の肌
何もかもが俺と同じ
その顔さえもすべて同じ
俺と同じ作りの
「何?」
「・・・別に」
聞いてくる声まで同じ
少し嫌な気分になって眉を顰めると、が雑誌から顔を上げた
そして笑う
「・・・俺と同じ顔でそんな風に笑わないでくんない?」
「リョーマが俺と同じ顔なんだよ」
が笑う
俺とは違う顔で
俺は絶対にしない顔で
俺には絶対に出来ない顔で
整った綺麗な顔
その紅い唇をゆっくりと持ち上げて
口紅なんて塗っていないはずなのに、すごく艶めかしく
そんじょそこらの女よりも劣情を誘って
はそんな風に笑う
俺と同じ顔
俺と同じ声
俺と同じ体型
俺と同じ能力
テニスだって
ゲームだって
好きなものも
嫌いなものも
全部が同じ
俺と
それなのに
どうして俺はこんなにが憎いんだろう
生まれた時から一緒なのに
生まれる前から一緒なのに
俺たちは全てが一緒なのに
それなのにどうして
「嫌いだよ、なんか」
口にすることさえもこんな簡単に出来てしまう
それなのにどうして
「ふーん? 俺はリョーマのこと好きだよ」
「嘘ばっかり。本当は俺のことなんて嫌いなくせに」
「どうして? 俺はリョーマのこと好きだよ」
俺の嫌いな笑い方でそんなこと言って
騙されるとでも思ってんの?
でもきっとのことだから、俺が騙されないことを知っていながらそんな嘘を平気で吐くんだ
だから俺は
「・・・・・・嫌いだよ、なんか」
こんなに近くにいるのに
こんなに同じ作りなのに
誰が見たって同じにしか見えないのに
俺とは何かが違うんだ
魂の奥底にある、何かが
「じゃあ俺も、リョーマのことなんか嫌いだよ」
ページをめくって
視線を戻して
また、俺の嫌いな笑い方で笑って
俺と同じ
一つの魂を分け合って生まれてきた俺たち
誰が見たって同じにしか見えないのに
嫌いだよ、なんて
そんな風に笑うなんて
嘘を平気で吐くなんて
なんて
この世で一番嫌いだ
「・・・・・・・・・嫌いだよ、なんて」
言うことはこんなに簡単に出来るのに
・・・じゃあ、
胸が苦しいのは、何故なんだろう
はもう一度顔を上げて笑った
俺の嫌いな笑い方で
あぁやっぱり
なんて、嫌いだ
2002年10月3日