06.運命だと、誰が決めた?
「雲雀、これをあげるよ」
がそう言ったのは、すでに秋も終わりを迎えた頃だった。
木枯らしが吹き始め、は十分に冬支度をしているらしく、登下校時には学ランの上に厚手のコートを羽織っている。
それはもちろん学生御用達のピーコートやダッフルコートなどでなく、動物の毛皮で作られた人目を引き付ける派手なもの。
この頃になれば雲雀が応接室にいるのはもはや当たり前のことになっており、逆に何の用か知らないがが留守をすることの方が多くなってきていた。
「・・・・・・何、これ」
放り投げられた包みに、雲雀は眉を顰める。
は大貫の手伝いによってコートを脱ぎ、数人がけのソファーで雲雀の隣に座った。
「開けてみなよ。きっと気に入る」
「そう言われると逆に捨てたくなるよね」
「おまえのために作らせたんだから、そう無碍にするなよ」
軽口を叩きながらも、雲雀は微笑を浮かべて包装紙を剥がしにかかる。
がさがさと音を立てて紙が破れ、分厚い布をめくって、出てきた金属色の輝きに目を瞠った。
「・・・・・・トンファー?」
「あぁ、仕込みトンファーだ」
あら綺麗、と佐知川が感想を漏らした。大貫もまじまじと眺め、頷く。
は満足そうにそのトンファーと雲雀を見比べて笑った。
「おまえは敏捷性は豊かだけど、力がない。タイマンなら素手よりも武器を持った方がいいからね」
「・・・・・・・・・それは褒めてるの、貶してるの?」
「どっちもだよ。とりあえず、そのトンファーを三ヶ月で極めろ」
顔を上げた雲雀に、は唇を吊り上げた。
最初に出会ったときと変わらない、愛らしい毒のある笑顔で。
再戦を告げる。
「卒業式の日に、もう一度相手になってやる。それで勝てなきゃ、おまえは一生負け犬だよ?」
刹那、烈しさを燃やした瞳に、わざとらしく唇を緩めて。
自らが与えた武器に、は気紛れに祝福を落とした。
さぁ、死ぬ気でかかって来い。
2006年2月6日