任務を終えて帰ってくると、コムイさんが仮眠用によく使っていて、リーバーさんにその分だけ起こされているソファーの上で、ラビが寝ていた。
・・・・・・・・・いや、違う。
ソファーに寝ている人の上で、ラビが寝ていた。
親亀の上に小亀が乗って
ソファーに男の人が寝てる。がっしりとしたブーツに黒のパンツ、シャツは柄物だけど派手という違和感は感じない。
その人の上にラビが載ってる。乗ってるじゃなくて載ってる。お腹に頭を乗せる程度じゃなくて、身体まるごとその人の上に載ってる。
母ラッコの上で抱かれている子ラッコ・・・・・・いや、抱かれてるというよりラビが抱きついているから、構ってもらいたくてしがみ付いてる子ラッコ?
「コムイさん・・・・・・」
「何? アレン君」
「あれ、何ですか?」
「あぁ、あれねー」
僕がソファーを指差して聞くと、コムイさんは何故か楽しそうに笑ってマグカップを揺らす。
「ラビが憧れのお兄さんにくっついてる図。別名、親亀小亀とも言う」
「親亀小亀・・・・・・」
「親亀は君の先輩だよ。二人とも寝入ってるから近づいてみても平気」
でも手を出すと叩かれちゃうけどね、と言ってコムイさんは赤く腫れた右手を振った。
叩かれるってどっちに? 何となくラビはイメージしにくいから、もう一人の人かな。
そう思ってとりあえず近づいてみた、ら。
「・・・・・・・・・コムイさん」
「ん?」
「すっ―――ごい美形ですね」
長いアッシュグレーの髪も、目を閉じてても分かる顔も、その右頬にある華の刺青も。
年齢は僕より10以上年上だと思うけれど、こんなに美形は初めて見る。
神田が綺麗なら、この人は男前。男らしく精悍で、目を惹いて堪らない感じ。
うわぁ・・・・・・世の中にはこういう問答無用な存在もいるんだ。
「そうでしょ、そうでしょ! は去年の女性団員アンケートで『恋人にしたい男ナンバーワン』に輝いた人物だからね!」
「え、そんなのやったんですか?」
「ちなみにクロスは『遊ばれたい男ナンバーワン』だったよ」
「あの師匠がっ!?」
「ちなみにそんな二人は親友だったり」
「・・・・・・じゃあ! あの人も師匠みたいに放浪癖だったり師匠みたいに傍迷惑だったり師匠みたいに女癖が悪かったり師匠みたいにヘビースモーカーの大酒のみだったり師匠みたいに弟子を金槌で殴ったりするんですか!? こんなに美形なのに!」
僕がそうまくし立てると、コムイさんは苦笑した。
確かに思い切り師匠を罵倒していると思うけど、でも本当のことだし。
「うーん・・・・・・クロスはともかく、はそうでもないよ。弟子ではないけど、ラビがあの通り懐いてるしね」
「あぁ・・・・・・」
納得してソファーを見れば、やっぱりラビが上に乗っかってくうくうと気持ちよさそうに寝てる。
重くないのかな。・・・・・・鍛えてるのかもしれない。
じーっと見てる僕が面白かったのか、コムイさんが笑って言った。
「アレン君も近くにいって一休みしてみたら? 夕飯になったら起こしてあげるよ」
・・・・・・そうは言われても。
とりあえず近づいて、僕はソファーの前に座ってみることにした。
2005年9月23日