そのとき、僕は忙しさのあまり全然気づいていなかったのだけれど。
かなり久しぶりになる仲間が、どうやら門番の元を潜ってきたらしかった。





おかえりなさい





「よぉ、コムイ。久しぶり」
そんな声と一緒に、上から箱が落ちてきた。
ヘフティのチョコだ、と確認しながら顔を上げれば、随分と久しぶりに見る顔が僕を見下ろしていた。
右頬にある、印象的な華の刺青は。
「・・・・・・?」
「なんだよ、その顔は。俺が帰ってきたら不味いことでもあんのか」
「いや、いやいやそんなことはないけど。でも随分ご無沙汰だったじゃない。クロスとどこかで遊んでるんじゃないかと思ってたよ」
賭けにもなっていた、と言うと、は端整な顔を不愉快そうに歪めた。
あぁ、そんな顔も相変わらず男前だね。君の美貌が健在で女性団員たちもきっと喜ぶに違いない。
「生憎、奴とはここ数年顔を合わせてなくてね。今回は集めたイノセンスが邪魔になってきたから戻ってきただけだ」
「あ、じゃあヘブ君のとこに持ってく?」
「おまえ持ってけ。俺は寝る」
がコートを脱いでそこら辺の棚に放ると、その音で他のみんなも気付いたのかこっちを向いた。
うわ、指差してる子までいるよ。うんうん、その気持ちも分かる分かる。
なにせ一年振りくらいだからねぇ、この男がホームに戻ってきたのは。しかもクロスと同じで連絡も途絶えていたし!
類は友を呼ぶと言うけど、こういうところは似なくていいのにねぇ、本当。
「あぁっ! さん!?」
「久しぶりっすね! 生きてたんですか!」
「悪いけど生きてたんだよ。おら、土産だ」
僕の机の上に落ちたままだった箱を、ポイポイッと投げていく。
「ヘフティのチョコレートだ! スイス行ってきたんすね!?」
「スイス! 俺も行きたい・・・・・・っ!」
「休暇が欲しい・・・・・・!」
チョコに頬ずりしては休みが欲しいと叫ぶ科学班のメンバーたち。
うん、僕も休みが欲しいよ。休みが欲しいよ! スイスでもどこでもいいから行きたいよ!
「残りは探索部隊や他の奴らに持ってとけ。それとほら、回収したイノセンス」
おそらくお店のチョコを全部買い取ってきたんだろう。山積みの箱と、イノセンスの入った袋を置くと、は近くにある僕の仮眠用ソファーに横になった。
長い足が納まりきらなくて端から出てる。
「夕飯になったら起こせ」
「はいはい。おやすみ」
命令形なのがいっそ清々しいけど、やっぱり疲れてたのかすぐに寝息が聞こえてきた。
なんとなく意地悪をしたくなって右頬の華―――アール・ヌーヴォーの紋章を突くと、思い切り手を叩かれる。
・・・・・・・・・寝ているはずなのに、なんて鋭い。
思わず笑っていると、そういえば言い忘れていたことに気付いた。
もう一回頬を突いて、定番の一言を。

「お帰り、

あ、やっぱり叩き落とされちゃった。





2005年9月23日