04. Ciao, Italia.
行きの教訓を活かしてファーストクラスで飛行機に乗り、客室乗務員の女性と他愛ない会話をし、はホームグラウンドであるイタリアへ帰ってきた。黒曜中の制服は気に入っているので着替えていない。中のティーシャツだけを派手なプリント柄に変え、ゴーグルに似たサングラスを装着する。
「とりあえず腹ごしらえして、その後でヴィンディチェの牢獄を探すか。まったく六道さんも手間かけせてくれちゃって」
困った人、と呟いてポケットに手を入れ、人で賑わうターミナルを横断しようとする。けれどそんな彼の周囲を、黒服の男たちが取り囲んだ。一目で分かるその筋の雰囲気に、はサングラスの下で目を細める。男たちの後ろから、初老の男性が歩み出てきた。
「これはこれは・・・・・・まさかこんなところで『ギャンブル』に会えるとは。いざ探そうとしてもお目にかかれない君に会えて光栄だよ。私はターニャファミリーの五代目だ。ここで会えたのも何かの縁。君に是非、仕事を頼みたい」
「本当だ。こんなラッキーはない」
笑顔を浮かべ、も応える。
「何でもお望みのギャンブルを当ててあげるよ。その謝礼は美味しいパスタとヴィンディチェの牢獄の場所でどう?」
ターニャファミリーの五代目とやらは、にとってはなかなか良いクライアントだった。美味しいパスタを望んだところ、連れて行かれたのは三つ星レストランではなく、下町の食堂。小さくて騒々しいけれども太ったご婦人の作るアリアータは絶品で、しかもサラダとパンとデザートがついてお手頃価格。手配してくれたホテルも適度な広さと快適さで、相手の好みや気分を判断した上の粋な計らいが出来る男なのだろう。Bravo. と手を叩き、ギャンブルの結果を伝えると共にオークションの落札価格も教えてやった。美味しいパスタにはそれだけの価値があるとは常々思っている。
「さてと、それじゃ参りますかね」
先ほどのカフェでウェイトレスからお釣りとしてもらったコインを宙に放る。まぶしく反射して落ちてきたそれを手の甲に押さえつけるようにしてキャッチし、表裏のどちらが上かを確認した後、は迷うことなく歩き出した。
さーて、六道さんは元気かな?
2007年7月16日