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DYE
14:誰が逝く?
向かい、揃う列の中に。
空席が二つ。
一つは身体が弱く、欠席が常の十三番隊隊長。
そしてもう一つは。
「更木はどうした?」
一番隊隊長にして、護廷十三隊を束ねる山本元柳斎重国のしわがれた声が響く。
困ったように、けれど本心でそう思っているわけではないことを明確に現しながら市丸が答える。
「十一番隊長さんは一足先に出向いとるらしいですわ。気ぃ早い御方やし」
「・・・・・・ふむ」
頷く声は咎めるような音を含んではいない。
しばしの沈黙が流れ、そしてまた山本の声が場に響く。
「今、現世では由々しき事態が起こっておる」
砕蜂は表情を崩さずに。
市丸は笑みを湛えながら聞いている。
「虚が魂送されることなく消滅させられ、我らが同胞が何人も葬られている」
卯ノ花は軽く瞼を伏せ。
藍染は右の拳を強く握る。
「先だっては五番隊の副隊長までもが、相手の手にかかり重傷を負った」
朽木白哉は無表情な顔を変えずに。
狛村は笠によって感情を晒さない。
「相手は十代と思われる若い、黒髪の男。滅法師かどうかは判らぬが、その可能性は高い」
京楽が髭を撫でつけ。
東仙は痛ましそうに眉を寄せる。
「第一に捕縛。もしも相手が攻撃してくるようなら殺害も已む無し」
日番谷は幼いながらも鋭い眼差しをし。
涅は興味なさそうに流している。
「更木はすでに向かった。して―――・・・・・・」
誰が行く?
混沌と、廻る、運命の中。
―――誰が逝く?
2004年11月7日