朝練はいつもより15分はやく終わった。これも俺とおったりと向日と、なんだかんだいって宍戸と日吉のおかげ。あ、滝と鳳のおかげもあるかも? だからはやく着替えて、でもって教室にダッシュ! だってだってだってだって!
今日はちゃんが帰ってきてるんだもん!





めぇめぇめぇめぇラム2匹





ちゃん・・・っ!」
「ジロ・・・っ!」
五日ぶりに会うちゃんは、やっぱりちゃんだった。駆け寄ってぎゅーって抱きしめるとあったかいのも、あまい匂いがするのも、全部全部ちゃん。えへへ、ひさしぶりだぁ。
「ジロ・・・」
俺より5センチくらい背の高いちゃんが、ぎゅーっと俺を抱きしめて。だから俺もお返しにぎゅむーって抱きしめたら。
「・・・昨日のワッフルとシュークリーム、俺の分も食べただろ・・・?」
何かすっごい低い声がして、背中に回された腕がものすごくきつく締め付けてきたし!
「ぅぎゃ!? いたっ! いたたたたたたたたたたっ! ちゃん、ギブっ! ギブッ!」
「俺のワッフリーム・・・」
「何それー!? だって鳳が紫苑に入ったから足んなかったんだよっ! ぎゃあ! ちゃん、マジで痛いーっ!」
「ワッフリームの泣き声が聞こえる・・・。俺の胃と愛し合うことが出来なかったワッフリームの悲痛な叫びが・・・」
「いたいー! あとべ助けてー!」
「勝手にやってろ、バカが」
「跡部ひどいー!」
っていうかちゃん、このほっそい腕のどこにこんな力があんの!? ぎゅーぎゅーぎゅーぎゅー締め付けられて、何か息できないし! このままじゃ俺、死んじゃう!? えっと、えっとえっとえっと、こういうときは・・・っ!
「今日のお昼にカフェでケーキおごるから許して!」
そう叫んだ瞬間に、ぱっと俺を締め付けていた力がなくなった。でもって、その代わりにふんわりと柔らかく抱きしめてくる腕があって。
「・・・ジロ、大好きー」
「俺もちゃん好きー」
今度は優しくぎゅーってしあってたら、何でか跡部が頭痛そうにため息ついてた。跡部ってひょっとして風邪でも引いてんのかも?

俺とちゃんは仲良しこよし。寂しそうだから跡部もいれてあげて仲良しこよし。ちゃんは流浪の民でときどきいなくなっちゃうけど、その他はいつも一緒にいることが多いし。学校でも一緒だし、部活は違うけど寮でも一緒だし。・・・やっぱ跡部は仲間外れかも? でもちゃんはけっこう跡部のことが好きだと思う。だって。
「けごたま、けごたま、ケーキ買って!」
「アーン? ふざけんな、てめぇはジローに奢ってもらうんだろ」
「ケーキは二つ食べてもケーキ! だからけーごさま、ね!?」
「『ね!?』じゃねーよ。てめぇで買え」
「買って買って買って買って買って買って買ってー!」
跡部は静かなのが好きなんだって。だからいっつもちゃんの攻撃には五分くらいしか堪えらんない。今日も五分たったころに、ケーキを奢るんじゃなくて、アメを一個ちゃんにあげてるし。・・・跡部が毎日アメを準備してると思うと、それってすっごく変。ちゃんが幸せそうだから、まぁいいけどー。
「けーごさま大好きー!」
「だったら少しは静かにしてやがれ」
アメをころころと口の中で転がして、ちゃんがニコニコ笑ってる。跡部も何となく笑顔。・・・なんかちょっとむーっとしたから。
「ねぇ、跡部。俺にもアメちょーだい?」
ねだったら跡部は変な顔になった。でも結局はアメをくれた。跡部っていいやつ!





2004年8月18日