「ねぇ鳳。どうして朝からそんなに疲れてるの?」
朝練が始まる前に部室で着替えていると、とても疲れた顔をした鳳が入ってきたので聞いてみた。何でだろうねぇ。とってもグッタリしているように見えるんだけど。
「・・・おは、おはようございます・・・滝先輩・・・」
「はいオハヨウ」
あぁ、そういえば鳳って紫苑に入ったんだっけねぇ。





異人館へいらっしゃい





「え!? 鳳ってマジで寮に入ったのかよ!?」
向日が驚いた顔で振り返る。まったく朝から元気だねぇ。
「紫苑って氷帝の中でもイロモノな奴ばっか集まってるじゃん。そんなとこによく入る気になったよなー」
「向日。僕も一年のときに紫苑にいたんだけど?」
「滝だって十分イロモノだって」
失礼なことを言ってるけど、否定も出来ないから少しだけ笑っておいた。でも僕は跡部ほどイロモノじゃないと思うけどね? 跡部こそ紫苑に入るべきだよ。それと向日も是非。見ればグッタリしている鳳の向こうにはニコニコと朝から笑って起きてるジローが見えて。・・・あぁ、なるほど。振り向いて鳳に笑みを浮かべた。その苦労は僕も判るからねぇ。
「鳳、ご苦労様」
「・・・何がですか?」
は寝起きが悪いから大変でしょ?」
パチクリと目を見開く鳳。うん、懐かしくて思わず笑みがこぼれちゃうねぇ。
「僕もね、一年のときは紫苑でと同室だったんだよ」
あの寝起きが悪くってゴロゴロ転がるどうしようもないとね。

「ふぅん、じゃあはもう教室に置いてきてあるんだ?」
僕がと同室だったと知った鳳は、それはそれは泣きそうになりながら今朝の状況を語る。
「はいっ! だってもうさんをあのまま寮に置いてきたら、絶対にそのまま寝ちゃって英語の授業なんて間に合わないと思ったんです!」
「うん、賢い判断だねぇ」
「本人は『大丈夫だよトリィ。起きてるから大丈夫だよ。だからもうちょっと寝かせておくれ』なんて普通にグーグー寝ながら言うんですよっ!? あれは絶対に起きてないですっ! 寝言ならまだしもすごくハキハキと喋るからどうしようもなくって・・・!」
あ、鳳のあだ名はトリィになったんだ? トリィってあれだよねぇ? 確かガンダムの主人公が持ってる機械の鳥。あはは、じゃあトリィの飼い主であるキラが宍戸? は何となくラクスっぽいよねぇ。跡部は間違いなくイザークだろうし。うーん、じゃあ僕は誰になるんだろう?
「一応さんは3−Aの教室に置いてきたんですけど・・・」
「・・・」
ねぇ、鳳。
「3−Aに置いてきたの?」
「はい。さんは3−Aですよね?」
「うん、確かにそうなんだけどねぇ・・・」
宍戸を見れば、コートで知らん顔してラリーをしてるし。忍足を見れば楽しそうにニヤニヤ笑いながらこっちを見てるし。向日は・・・まぁ忍足と一緒で。日吉は相変わらず我関せず。ジローがニコニコニコニコ笑ってるのは、たぶんが帰ってきて嬉しいからなんだろう。ということはきっと、考えているはずがない。
「・・・何か不味かったですか・・・?」
隣で鳳が気弱そうに呟いた。僕はちょっとだけ考えてから横に首を振る。
「ううん、全然何でもないよ」
さぁてと、練習練習。

今は監督との話合いでいない跡部が、先に教室に戻ってると面白いだろうねぇ。うん、楽しみ楽しみ。今日の朝練は少しだけ早めに終わるだろうなぁ。(正レギュラーの紫苑寮生によって)





2004年10月26日