フラっと出て行っては何日か後に甘いもんをぎょうさん抱えて帰ってくる。もちろんその間は学校なんか完全にサボリや。教師が溜息ついて見送っとるっちゅうことは、のサボリは半ば公認なんやろな。まぁどこで何しとるかは知らへんけど。の放浪は、今じゃ茶菓子のネタにされとるくらいや。





メープルクイーン





ダンボールの中から探し出したマグカップで鳳が紅茶を入れて渡してくる。えぇ奴が来たなぁ。これでしばらくは自分で茶ぁ入れへんで済みそうや。コーヒーは不味いのなんか飲む気ないから自分で入れんとあかんけどな。まぁ紅茶ならえぇやろ。
ちゃん、明日の英語までに起こしてって言ってたでしょー?」
ジローがやけに嬉しそうに笑いながらワッフルを食うとる。コイツも大概のことが好きやなぁ。いっつもゴロゴロ一緒におるしな。何や動物が二匹おるみたいで自然っちゃあ自然なんやけど。
「あぁ。英語で何かあんのか?」
ちゃんねーこの間のテスト直しの直しを提出してなくて呼び出しくらってんの! しししーっ俺はもう出したもんね!」
「・・・直しじゃなくて、直しの直しですか?」
「馬鹿ですね、相変わらず」
「日吉ってばよーしゃないし!」
「ジロー、容赦くらい漢字で言うときや」
このシュークリームも美味いんやけどサイズがなぁ。以前に出とったカボチャシュークリームの方が俺の好みやったんやけど、まぁえぇわ。は鳳によってベッドへと移動させられて、今はグーグーと眠りこけとる。・・・落書きしたろか、コイツ。(何となくや)
「まぁ長太郎も今日から紫苑の寮生だし、大抵のことには慣れてくるだろ」
宍戸が紅茶を飲みながら鳳に話をしとる。何やかんや言うて面倒見のえぇ奴やからな。
「夜中に出てくときは窓開けてけよ。でないとみたいになるからな」
「部屋が隣だからって俺に迷惑かけるなよ」
日吉も何気ない顔して言うことは言うとるし。鳳はのことが気になるんか、チラチラとベッドへ視線を向けとって。まぁ初めて会う奴はに少なからず興味を持つさかい、当然やろなぁ。こないな変な奴、探してもそうは見つからへんで。を気にしとる鳳にジローがニコニコ笑うて話しかける。
ちゃんはねー流浪の民なんだよ」
「・・・流浪の民、ですか?」
「そー。時々フラっといなくなってはお菓子と一緒に帰ってくんの。でもってそのお菓子をみんなで食べるのが紫苑の習慣なんだよねー」
「せやな。毎回毎回、甘いもんばっかやけど」
ちゃんは大の甘いもの好きだからねー」
「いくら食べても太らないから化け物だよな」
「一体どこに消えていくんだか」
せやな、確かにの胃はブラックホール並みやと思うわ。身長は宍戸よりも小っさいのによう食う奴やし。そないなところも動物みたいやな。女の子が喜ぶハムスタータイプや。間違いなくアホやけどな。
結局、鳳はにベッドを譲って自分は床で寝たらしい。・・・そないなことじゃ紫苑じゃ生きていけへんで。きばりや、鳳。





2004年10月22日