私立祥英高校の二大勢力、生徒会と監査委員。
現在のその両長は、唯一無二の親友らしい。
生徒会と監査委員
「―――先輩! 先輩!」
曲がり角に差し掛かったところで後ろから声をかけられ、は振り向いた。
見れば放課後で賑わっている廊下の向こうから、こっちへ向かって走ってくる生徒がいる。
それが学年は違えど見慣れた相手で、は足を止めて彼の到着を待った。
「どうかした、山口君?」
ごめん、と謝ってから手を伸ばして乱れた髪を直してやると、山口圭介は慌てたように自身でもぱたぱたと手櫛で整える。。
少し唇を開いたり閉じたりした後、意気込んだように声を出した。
「あの、西城会長を見ませんでしたか!?」
「いや、見てないけど」
「・・・そうっすか・・・・・・」
学生服に包まれた肩が力なく落ちる。
それを気の毒に思いながらも、親友の相変わらずの行動にはつい笑みを漏らした。
気づいた山口が不服そうに頬を膨らませて、唇を尖らせる。
「笑い事じゃないんすよ! 今度の生徒総会の書類だってまだ裁決してもらってないのに・・・・・・っ」
「西城のことだし、直前になってどうにかするんじゃないかな」
「それじゃ、俺が困るんですってば・・・・・・」
「うん、ご苦労様」
ぽん、と沈んだ肩を軽く叩いて、顔を上げた山口に笑みを向ける。
穏やかなの微笑を近距離で向けられ、動揺して固まった彼に、ことさら優しく。
どうしようもない親友には少しだけ毒のある笑顔を向けてやろうと決めながら、は助け舟を出した。
「生徒会の活動を監視するのは、監査委員である俺の役目だからね。10分後には見つけて、生徒会室に連れて行くよ」
「・・・・・・毎回毎回すみません・・・」
「いいよ。俺もリコールよりかは捜索の方が楽だし」
軽く笑って、が歩き出す。
そのブレザーの後ろ姿に向かって、山口は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます、先輩!」
「どういたしまして」
ひらひらと片手で手を振りながら、は頭の中で校舎の見取り図を描き出す。
とりあえず隠れ場所の多い図書室から向かおう、なんて考えながら。
この10分後、監査委員長は見事な手腕で生徒会長を見つけ出し、生徒会室へと連行するのだった。
2002年12月17日